志波西果

志波西果（しば せいか）：激動の時代を駆け抜けた映画監督

志波西果（1900年12月17日 - 1960年代半ば）は、佐賀県佐賀市出身の映画監督、脚本家です。本名は頼之（よりゆき）といいます。

映画界への足跡

佐賀中学校を卒業後、1922年に国際活映に入社し、映画館勤務からそのキャリアをスタートさせました。同年、彼が書いたオリジナルストーリーが映画化され、脚本家としての才能を開花させます。翌年にはマキノ映画製作所に脚本が採用され、助監督としても活動を開始しました。わずか1年足らずで監督に昇進し、自身の脚本による作品で監督デビューを果たします。

しかし、マキノの合併に反対して退社。その後、台湾での独立プロダクション設立を試みるも失敗し、帝国キネマに入社。そこで再び監督として才能を発揮しますが、短期間で退社し、新たな映画製作の道を探ります。

阪東妻三郎との出会いと剣戟映画

1925年、志波は阪東妻三郎プロダクションに招かれ、阪東主演の剣戟映画を次々と発表しました。これらの作品は、志波自身の脚本によるもので、彼の才能が遺憾なく発揮されています。しかし、1927年に同社を退社し、新たな挑戦を始めます。

さまざまな映画製作に関わる

退社後、志波は直木三十五の主宰する「連合映画芸術家協会」に参加しますが、撮影途中で逃亡するという事件を起こします。その後、「日本映画プロダクション」に参加するも、興行的に失敗し、同社は解散。その後は、日活太秦撮影所に入社し、大河内伝次郎主演の映画を監督しました。その後も、帝国キネマに戻るなど、様々な映画製作に関わりました。

トーキーへの挑戦と戦争

1930年代に入ると、トーキー映画の波が押し寄せますが、志波は乗り遅れてしまいます。太秦発声映画でトーキー映画に挑戦するも失敗。その後、無声映画の剣戟映画を撮るなど、試行錯誤を繰り返しました。1937年には、カラー映画に挑戦しますが、同年勃発した支那事変に報道班員として従軍し、消息を絶ちました。

その後の消息

戦後、長らく消息不明でしたが、1959年にアニメ作品の監督として名前が確認されました。しかし、その後の活動については詳しいことは分かっていません。

志波西果は、激動の時代を駆け抜けた映画監督でした。映画界での成功と挫折、戦争による中断など、彼の人生は波乱に満ちていました。しかし、その才能は多くの作品に刻まれ、今もなお、その名を知られています。

フィルモグラフィー（一部）

雲光の岐に (1922) - 脚本
彼の山越えて (1923) - 脚本
懐かしき母 (1924) - 監督・脚本
幸福 (1924) - 監督・脚本
怒髪 (1925) - 監督
魔保露詩 (1925) - 監督・脚本
尊王 (1926) - 監督・脚本
素浪人 (1926) - 監督・脚本
蛇眼 (1926) - 監督・脚本
馬鹿野郎 (1927) - 監督
剣と恋 (1929) - 監督
時代の反抗児 (1930) - 監督
旋風時代 (1930) - 監督
月形半平太 (1937) - 監督

関連事項

国際活映
マキノ・プロダクション
帝国キネマ
阪東妻三郎プロダクション
* 直木三十五

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