志自岐 (給油艦)

志自岐について

志自岐（しじき）は、日本海軍が所有した運送船で、給油船の初号となります。艦名は長崎県平戸島にある志々岐埼に由来し、1915年に建造されました。現在のタンカーに相当するモデルの船として、当時の日本海軍にとって重要な役割を果たしましたが、1919年に重油を輸送中に遭難し、多くの命が失われてしまいました。

艦歴

建造の背景

日本海軍は明治末期から重油輸送を民間のタンカーに依存していました。しかし、第一次世界大戦の開戦後、タンカーの不足が顕著になり、特に八八艦隊計画に基づく大量の重油輸送が必要とされる状況にありました。そうした中で、1914年2月に艦政本部が三千噸積の重油船の早急な建造を提案しました。

この計画は、民間の重油輸送が鉄道を利用している現状を受け、海上輸送へとシフトする必要性から生まれました。艦政本部は3,000噸積を適当とし、1915年に建造が開始されることになりました。

志自岐の建造

志自岐の設計は、タンカー建造の経験を有する三菱造船が行いました。1915年3月に製造が指令され、呉海軍工廠にて建造が進められました。艦型は民間のタンカーに類似していましたが、速力は12ノットに設定され、艦本式缶を使用したボイラーが搭載されました。

1916年には進水し、同年5月に竣工しました。以降、主に秋田・新潟から横須賀、呉、佐世保の軍港への重油輸送を担当することになりました。

重油輸送の実績

志自岐は1947年まで様々な地域間での重油輸送を行い、特に1917年にはボルネオ島からの重油輸送にも従事しました。日本海軍はボルネオの重油を購入し、志自岐がその輸送を担うことに決定しました。最初の輸送は1917年6月に行われ、以降もボルネオからの重油輸送が続けられました。

沈没・遭難

しかし、志自岐は1919年8月にボルネオから佐世保港へ向かう途中、フィリピン東方海域で台風に巻き込まれました。同月15日に、種子島南方の源三郎礁に座礁し、浸水が進行する中、機関が故障したために動けなくなりました。波の影響で船首から沈没し、乗組員120名のうち生存者はわずか7名で、他は殉職または行方不明となりました。

沈没後の取り扱い

沈没後、重要物件の引き揚げが行われましたが、船体の引き揚げは難しいと判断され、結局、廃棄決定となりました。その後、艦籍は1920年4月に特務艦籍に編入され、同年6月に除籍されました。以降は、志自岐の幽霊船の目撃情報もあり、地域の伝説として語り継がれています。

歴代艦長

志自岐には歴代艦長が存在し、最初は匝瑳胤次中佐が1916年から、次いで人見三良中佐、前川直平中佐、最後に石川庄一郎中佐が指揮を取っていました。石川中佐は最期の航海で殉職した四名の一人です。

まとめ

志自岐の歴史は、日本海軍の重要な部隊の一部であり、艦の遭難によってその悲劇的な運命がもたらされました。この艦の物語は今日も多くの人々に忘れられず、海軍の歴史の中で重要な一幕となっています。

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