応答時間

応答時間（レスポンスタイム）とは

応答時間（レスポンスタイム）とは、工学やテクノロジーの分野において、システムや実行ユニットが入力に対して反応するまでにかかる時間のことを指します。

データ処理における応答時間

データ処理の分野では、エンドユーザーが知覚する以下の時点間の時間間隔を意味します。

ユーザーが端末からコンピュータに応答を要求する操作を入力した時点
端末にその応答の最初の文字が表示された時点

また、遠隔データシステムにおいては、問い合わせメッセージが送信完了した時点と、応答メッセージが問い合わせの発信元で受信され始めた時点との間の時間間隔を指します。

リアルタイムシステムにおける応答時間

リアルタイムシステムでは、タスクやスレッドの応答時間は、タスクが実行可能になった時点（ディスパッチ）から、そのジョブが完了する時点までに経過した時間として定義されます。

応答時間とWCET（最悪実行時間）は異なります。WCETは、あるタスクが妨害を受けずに完了すると予想される最長時間を指します。また、デッドラインとも異なり、デッドラインはタスクがジョブを完了しなければならない期日を示します。

液晶ディスプレイにおける応答時間

液晶ディスプレイの応答時間は、主に以下の2つの要素によって遅延が発生します。

内部処理遅延: LSI（大規模集積回路）での処理にかかる時間
応答時間: ピクセルが適切な色を表示するまでにかかる時間

内部処理遅延

テレビ向け液晶ディスプレイでは、表示を鮮明にするなどの画像処理が行われており、その計算に時間がかかるため遅延が発生します。一般的に、2〜10フレーム（約30〜170ミリ秒）程度の時間がかかり、テレビのサイズが大きいほど遅延は大きくなる傾向があります。

これらの遅延は、動画再生には問題ありませんが、キーボード入力やアクションゲームなど、高速な応答性が求められる用途では障害となります。そのため、ゲームモード（スルーモード）などを搭載しているテレビでは、遅延を0〜4フレーム（70ミリ秒以下）に抑えることができます。また、パソコン用ディスプレイも、キーボード入力の障壁とならないよう遅延が小さく設計されています。

応答時間

液晶ディスプレイのピクセルの応答時間は、ピクセルが活性状態（黒）から非活性状態（白）に変化し、再び活性状態に戻るまでにかかる時間で評価されます。一般的にミリ秒（ms）単位で計測され、数値が小さいほど、状態変化が高速であることを示し、動画がより自然に見えます。

古いディスプレイほど応答時間が長く、動きの速い画像でブレが発生しやすいため、映画鑑賞には不向きでした。しかし、最近の液晶ディスプレイでは、応答時間が大幅に改善されています。一般的に8〜16ミリ秒程度ですが、ISOの標準規格では、黒から白への遷移時間を応答時間と定義しています。実際の動画では、より微妙な色変化の時間も重要になります。

最近では、RTC（Response Time Compensation）またはオーバードライブ技術により、液晶の応答時間を改善するのが一般的です。これらの技術は、メーカーによって名称が異なります。

ブラウン管の画像は、60〜80Hzの頻度で更新されるため、応答時間は12.5ミリ秒以上と言えますが、画面全体が毎回書き換えられるため、液晶のような問題は発生しません。プラズマディスプレイも同様ですが、ちらつきという別の問題があります。

応答時間の長い液晶ディスプレイは、高速描画が求められるコンピュータゲームには不向きです。ピクセルの応答時間と、入力に対するタイムラグは異なります。液晶ディスプレイには、信号が入力されてから実際に表示されるまでのタイムラグが存在します。応答時間やタイムラグが大きい液晶ディスプレイは、高速応答性が求められる用途には不向きです。また、このタイムラグは公表されていないことが多いです。

中間色から別の中間色への応答時間

GTG（Gray to Gray）は、中間階調応答速度を評価するための指標です。ミリ秒（ms）単位で計測されます。実際には、中間色から別の中間色への変化が多く発生するため、黒→白→黒の計測よりもGTGによる評価が推奨されています。

撮影した動画の残像を計測

MPRT（Moving Picture Response Time）は、液晶の中間調における応答特性と、ホールド型表示に起因するぼやけを総合的に評価する指標です。こちらもミリ秒（ms）単位で計測され、応答性能はGTGの明るさの変化だけでは判断できないとされています。

オーバードライブ回路

オーバードライブ回路は、主に中間階調の応答速度を高速化するために使用されます。設定で強度を上げすぎると、オーバーシュートやアンダーシュートが発生し、本来の映像ソースにはない色が現れることがあります。オーバードライブ回路の名称は、メーカーによって異なります。

まとめ

応答時間は、様々な分野でシステムの性能を評価する上で重要な指標です。特に、リアルタイムシステムや液晶ディスプレイなど、高速な応答性が求められる分野では、応答時間の短縮が不可欠です。技術の進歩に伴い、応答時間を改善するための様々な手法が開発されており、今後もさらなる向上が期待されます。

関連用語

ラウンドトリップタイム: データが送信されてから応答が返ってくるまでの時間。
レイテンシ: 遅延時間。
スループット: コンピュータやネットワークが一定時間内に処理できる仕事量。

外部リンク

Response Time Compensation, TFT Central
* LCD Panels with Response Time Compensation , X-bit Labs

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