忠清北道 (日本統治時代)

忠清北道:日本統治時代の行政区画



忠清北道(チュンチョンプクト)は、日本統治時代の朝鮮における行政区画の一つです。現在の韓国に位置する忠清北道世宗特別自治市の一部がその領域に相当します。道庁所在地は清州(チョンジュ)に置かれていました。

地理と概要



朝鮮半島南西部、忠清道地方の東部に位置する内陸の道であり、北西に京畿道、北東に江原道、東に慶尚北道、南に全羅北道、西に忠清南道と接していました。この地理的特性は、多様な文化や経済活動が交わる地域としての発展を促しました。

人口構成



1936年(昭和11年)の現住戸口調査によると、忠清北道の総人口は907,055人でした。その内訳は、内地人(日本人)が8,598人、朝鮮人が897,736人、その他が721人となっています。このデータから、当時の人口の大部分が朝鮮人であったことがわかります。

行政区分



1945年(昭和20年)当時、忠清北道は以下の郡で構成されていました。

清州郡: 清州邑、四州面、琅城面、米院面、加徳面、南一面、南二面、文義面、賢都面、芙蓉面、江西面、江内面、江外面、玉山面、栢倉面、北二面、北一面
報恩郡: 報恩面、俗離面、馬老面、炭釜面、三升面、水汗面、懐南面、懐北面、内北面、山外面
沃川郡: 沃川面、東二面、安南面、安内面、青城面、青山面、伊院面、郡西面、郡東面
永同郡: 永同邑、龍山面、黄澗面、黄金面、梅谷面、上村面、楊江面、龍化面、鶴山面、陽山面、深川面
鎮川郡: 鎮川面、徳山面、草坪面、文白面、栢谷面、梨月面、万升面
槐山郡: 槐山面、甘勿面、長延面、上芼面、延豊面、七星面、文光面、青川面、清安面、曽坪面、道安面、沙梨面、沼寿面、仏頂面
陰城郡: 陰城面、蘇伊面、遠南面、孟洞面、大所面、三成面、金旺面、笙極面、甘谷面
忠州郡: 忠州邑、沙味面、利柳面、周徳面、薪尼面、老隠面、仰城面、可金面、金加面、東良面、山尺面、厳政面、蘇台面
堤川郡: 堤川邑、錦城面、清風面、水山面、徳山面、寒水面、白雲面、鳳陽面、松鶴面
丹陽郡: 丹陽面、大崗面、佳谷面、永春面、魚上川面、梅浦面、赤城面

これらの郡は、それぞれが地域社会の中心として機能し、地域の特性に応じた発展を遂げていました。

行政・司法・警察



忠清北道には、道庁のほか、裁判所や警察組織が整備されていました。1941年(昭和16年)当時、大田地方法院の清州支庁と忠州支庁が設置され、治安維持のため、1927年(昭和2年)には忠清北道警察部が清州に置かれ、各郡にも警察署が設けられました。また、憲兵部隊も配置され、地域社会の秩序を維持する役割を担っていました。

税務と専売



税務に関しては、1941年(昭和16年)当時、清州税務署が管轄していました。また、専売局としては、京城地方専売局の清州出張所が置かれ、専売品の管理を行っていました。

気象観測



1942年(昭和17年)には、秋風嶺測候所が設置され、地域における気象観測が行われていました。これにより、農業や交通など、気象に影響を受ける様々な分野での活動に役立てられました。

交通網



鉄道網は、総督府鉄道の京慶線と京釜線が通過しており、私鉄としては朝鮮鉄道の忠北線が運行していました。道路網としては、一等道路に京城釜山線、天安大邱線、金化忠州線、忠州江陵線、二等道路には忠州盈徳線、公州忠州線、永同全州線が整備されていました。

鉱業と産業



鉱業では、得水鉱山(鉛)や山野月明鉱山などが開発されました。1940年(昭和15年)には、道内に本社を置く資本金50万円以上の企業として、農林水産業の満州殖産、製造業の高見酒造や清州酒造、運輸業の忠北自動車、卸売小売業の南鮮商事などが活動していました。これらの企業は、地域の経済発展に大きく貢献しました。

文化とメディア



1945年(昭和20年)には、朝鮮放送協会清州放送局(JBQK)が開局し、地域への情報伝達を担いました。また、この時代には小説家の趙明煕のような著名な人物も輩出しており、文化的な側面も豊かでした。

神社



地域には清州神社、忠州神社、報恩神社、永同神社などの神社が建立され、日本統治下の宗教政策の一端を担っていました。

まとめ



忠清北道は、日本統治時代において行政、経済、文化の面で重要な役割を果たしていました。多様な産業が発展し、交通網や社会基盤が整備される一方で、当時の社会状況や文化的な影響も色濃く残っています。この地域に関する歴史的な考察は、現代の韓国社会を理解する上で不可欠な要素と言えるでしょう。

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。