怪獣大決戦ヤンガリー

怪獣大決戦ヤンガリー

『怪獣大決戦ヤンガリー』（原題：용가리）は、1999年に公開された韓国の特撮怪獣映画です。『大怪獣ヨンガリ』のリブート作品として、シム・ヒョンレ監督によって制作されました。この作品は、韓国映画でありながら、主要キャストにハリソン・ヤング、ドナ・フィリップソンなどの欧米の俳優を多数起用したことで話題となりました。1999年7月17日に韓国で初公開され、その後、脚本の一部変更や特殊効果の追加を行った『Yonggary: 2001 Upgrade Edition』が2001年1月20日に公開、北米では『Reptilian』のタイトルでリリースされました。当時、韓国映画としては最も多額の製作費が投じられた作品としても知られています。

ストーリー

物語は、ヒューズ博士とキャンベル教授が率いる探検隊が、東南アジアの洞窟で化石化したエイリアンの死体を発見するところから始まります。同時に、キャンベル教授は恐竜の骨の場所を示すヒエログリフを発見します。2年後、謎の宇宙船が地球に接近し、アメリカ軍の衛星を破壊。この事態を国家安全保障局のマードック将軍に報告したパーカーは、事態の深刻さを認識します。一方、フォトジャーナリストのブラックと助手のホリーは、キャンベル教授主導の恐竜の骨の発掘情報を得て現場へ向かいます。しかし、2年前に死亡したと思われていたヒューズ博士が発掘現場に現れ、恐竜の復活を阻止しようとキャンベル教授に警告しますが、聞き入れられません。宇宙船は恐竜を復活させるためにビームを発射し、発掘隊に犠牲者が出ます。

ホリーはキャンベル教授を問い詰めますが、調査を拒否されたため発掘隊を離脱。その後、ヒューズ博士と合流し、彼から怪獣ヤンガリーの伝説、宇宙人の化石、そして新たに発見されたヒエログリフについて語られます。ヒューズ博士は、自分が2年間アメリカ政府に拘束されていたことも明かします。ホリーは当初信じませんでしたが、ヒューズ博士が提示した宇宙人の化石に関する機密データを見て事実を受け入れます。二人がキャンベル教授を止めようと発掘現場に戻ろうとする間に、ヤンガリーは宇宙船のビームによって復活。キャンベル教授は宇宙人に殺害されていました。

宇宙人はヤンガリーを非物質化し、ヒューズ博士とホリーはパーカーに保護されます。しかし、ヤンガリーはテレポートで再び現れ、ヘリコプター部隊を壊滅させます。国家宇宙調査局のスタンリー・ミルズは、マードック将軍とハウエル将軍に、宇宙人が2億年前に地球に来ていたこと、宇宙人に対抗する情報が盗まれたことを伝えます。ミルズは宇宙人生け捕りを提案しますが、ハウエル将軍は拒否し、ヤンガリーはロサンゼルスを破壊し始めます。

国家宇宙調査局の基地に到着したヒューズ博士とホリーは、ミルズから、ヒューズ博士が宇宙人の情報を持ち込んだ張本人であり、情報を盗んだ犯人であることを知らされます。ヒューズ博士は国家宇宙調査局が警告を無視したと反論します。ミルズはヒューズ博士が盗んだレーザーディスクを奪おうとしますが失敗し拘束されます。アメリカ大統領は国家安全保障局に対し、5時間以内にヤンガリーを撃退できない場合は核攻撃を行うと宣言。マードック将軍はT部隊を動員し、ヤンガリー撃退を命じます。

ヒューズ博士とホリーはヒエログリフを解読し、ヤンガリーが額のコントロール装置「デイモン」によって宇宙人に操られていること、そして「もう一つの光」が戦いの中に送られることを知ります。T部隊が「デイモン」を破壊し、ヤンガリーのコントロールを解除することに成功。一方、ミルズは自分を殺すようにマードック将軍に頼みますが拒否されます。ミルズは基地のレーダーを妨害しようとしますが失敗、逮捕されます。宇宙人は新たな怪獣サソリゲスを送り込みますが、ヤンガリーに倒され、宇宙人は地球から撤退します。将軍たちは爆撃機の攻撃を中止させ、国家安全保障局はヤンガリーを無人島に送り届けます。

キャスト

ウェンデル・ヒューズ博士 - ハリソン・ヤング（麦人）
ホリー・デイヴィス - ドナ・フィリップソン（安藤麻吹）
キャンベル教授 - リチャード・B・リヴィングストン（山路和弘）
ジョージ・マードック将軍 - ダン・キャッシュマン（石井隆夫）
ジャック・トーマス - デニス・ハワード（佐々木敏）
ドン・ハウエル - マット・ランダーズ（宝亀克寿）
スタンリー・ミルズ - ブルース・コーンウェル（仲野裕）
バド・ブラック - ブラッド・サージ（内田直哉）
パーカー - ブライアント・ウェルス
ハウエル将軍 - マット・ランダース

製作

現代キャピタルと韓国技術保証基金からの資金援助に加え、韓国政府と水原市の協力のもと、通常は撮影が難しい軍事施設や装備の使用許可を得ることができました。撮影のためには124体ものミニチュアが用意され、ヤンガリーのデザインと彫刻には6ヶ月が費やされました。撮影時にはスーツアクターがヤンガリーを演じていましたが、ポストプロダクションでCGIに置き換えられました。撮影期間は18ヶ月におよび、上映時間のうち45分間はCGパートで構成されています。当時の韓国映画としては破格の製作費が投じられた作品です。

1999年7月公開の成功を受け、同年12月から再撮影を開始。CG効果の追加やストーリーの一部変更、キャラクターの追加を行い、再撮影版は2001年に『Yonggary: 2001 Upgrade Edition』として公開され、北米では『Reptilian』としてビデオリリースされました。

公開

1998年には2分間の予告編「Yonggary 1998」が製作され、カンヌ国際映画祭で公開されたところ、ワーナー・ブラザースとユナイテッド・インターナショナル・ピクチャーズが関心を示しました。制作前の段階で、ドイツ、ポーランド、タイ王国、トルコなど9カ国との契約で272万ドルの利益を得ています。また、映画祭期間中に発行された雑誌にも記事が掲載されました。

1999年7月17日に韓国で公開され、初日には12万人の観客動員数を記録し、週末には100万人に達しました。上映館数は、当時の韓国で最大規模の85館を記録しました。しかし、2001年1月20日に公開された再撮影版『Yonggary: 2001 Upgrade Edition』は、批評的にも興行的にも成功を収めることはできませんでした。

評価

DVDトークのチャック・アリントンは、俳優の演技と台詞を「痛々しい」と表現しましたが、「レンタルする価値は十分にある」と評しています。StompTokyo.comは、低質な特殊効果を「漫画的」と酷評しています。ジム・クレイドックは、著書『VideoHound's Golden Movie Retriever』で本作に1/4の星を与え、「韓国軍がヤンガリーを倒した時点で物語を終了させるべきだった」と批判しています。ファンゴリアの匿名の批評家は、映画の作りが杜撰であり、意図的に出来の悪いビデオゲームのような特殊効果にしていると指摘しています。

ソフト化

2001年8月21日にソニー・ピクチャーズ ホームエンタテインメントから再撮影版のDVDが発売され、2002年3月5日にはコロンビア・トライスターからVHSが発売されました。

出典

[参考文献]
Benshoff, Harry (2014). A Companion to the Horror Film. Wiley-Blackwell. ISBN 978-0470672600
Chung, Hye Seung; Diffrient, David Scott (2015). Movie Migrations: Transnational Genre Flows and South Korean Cinema. Rutgers University Press. ISBN 978-0813575186
Craddock, Jim (2011). VideoHound's Golden Movie Retriever. Gale Research Inc. ASIN B00DIKTYHO
Peirse, Alison (2013). Korean Horror Cinema. Edinburgh University Press. ISBN 978-0748677658
Tsutsui, William M. (2004). Godzilla on My Mind: Fifty Years of the King of Monsters. St. Martin's Griffin. ISBN 1403964742
[外部リンク]
怪獣大決戦ヤンガリー - allcinema
怪獣大決戦ヤンガリー - KINENOTE
Reptilian - オールムービー（英語）
* Reptilian - IMDb（英語）

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