恋に恋して恋きぶん

恋に恋して恋きぶん：華麗なる恋の物語

1987年夏、TBS系列で放送されたテレビドラマ『恋に恋して恋きぶん』は、魅力的な女性デザイナーと、彼女を取り巻く人々の恋愛模様を描いたラブコメディです。全11話というコンパクトな構成ながら、個性豊かなキャラクターたちが織りなす恋の駆け引きは、視聴者を惹きつけました。

物語の中心となるのは、美しく才能あふれるデザイナー、高桑万里。彼女は、誠実な会社員である倉沢潤一と恋人関係にあります。しかし、万里に商品デザインを依頼した元レーサーの矢島直人が、彼女に熱烈なアプローチを始めます。

一方、万里の親友で、倉沢と同じ会社に勤める平野小枝子は、不倫の悩みを抱え、倉沢に相談する中で、彼に惹かれていきます。さらに、矢島の店で働く柴川正樹は、レーサーを目指しながら万里の妹・朋江に恋心を抱きますが、朋江は別の男性、杉本高志に好意を寄せられています。

このように、それぞれの登場人物が複雑に絡み合い、恋の駆け引きが展開していく様子は、見るものを飽きさせません。

ドラマの見どころの一つとして、オープニングシーンで実際に使用されたオートバイレースやモトクロスの迫力ある映像が挙げられます。これらの映像は、ドラマ全体の雰囲気を盛り上げ、視聴者の注目を集めるのに一役買っています。

しかしながら、『毎度おさわがせします』シリーズや『夏・体験物語』のような社会現象を巻き起こすほどの爆発的な人気は得られませんでした。それでも、豪華なキャスト陣と、テンポの良いストーリー展開は、多くの視聴者から支持を得たと言えるでしょう。

特筆すべきは、本作がTBS火曜9時枠の連続ドラマにおいて、長きにわたる歴史に幕を下ろした作品だということです。『あんたがたどこさ』以来14年間続いたこの枠は、本作を最後に一時中断され、次の連続ドラマが放送されるまで5年間のブランクが生じました。

キャスト陣も豪華な顔ぶれが揃っています。MIE（現・未唯mie）演じる高桑万里を始め、布施明、西城秀樹、朝加真由美、野々村真、藤井一子、保阪尚輝など、当時の人気俳優たちが勢ぞろいしています。脇を固める俳優陣も実力派揃いで、それぞれのキャラクターを丁寧に演じきっています。

挿入歌にも、石井明美の「JOY」や秋山絵美の「太陽のアラベスク」、そして藤井一子の主題歌「バンクショット」など、当時を彩った名曲が使用され、ドラマの世界観をさらに豊かなものとしています。

脚本は大石静、演出は楠田泰之、飯塚正彦、プロデューサーは阿部祐三、浜井誠という、実力派スタッフ陣によって制作された『恋に恋して恋きぶん』。華やかな恋の物語と、複雑に絡み合う人間関係、そして豪華なキャスト陣と名曲の数々によって彩られた、忘れがたいドラマと言えるでしょう。

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