恋ははかなく (短編映画)

トムとジェリー：恋ははかなく

1946年8月31日公開の『トムとジェリー』シリーズ短編作品、『恋ははかなく』(原題:Solid Serenade)は、恋に落ちるトムとそれを阻むジェリー、そして思わぬ巻き込み方をされる番犬キラーの騒動を描いた、痛快なコメディです。

物語は、優雅な豪邸に住む美しい雌猫トゥードルに恋をしたトムから始まります。トムは、トゥードルへの愛を伝えるため、家の番犬であるキラーを巧みにロープで縛り上げ、ウッドベースを手にブルースを奏でながら、熱烈な求愛の歌を歌い始めます。

しかし、トムの熱唱は、郵便受けに巣を作っているジェリーを怒らせてしまうのです。けたたましい歌声とウッドベースの音は、ジェリーの安眠を妨げ、家の中は大混乱に陥ります。堪忍袋の緒が切れたジェリーは、トムに熱々のアイロン入りのパイを投げつけ、さらにキラーのロープを解いてしまいます。

解放されたキラーは、トムに縛られていた怒りを爆発させ、トムに襲いかかります。トムは、トゥードルへの告白を続けながら、キラーの猛攻をかわし、同時にジェリーとの追いかけっこを繰り広げるという、まさに多忙な状況に陥ります。

ジェリーを犬小屋に追い詰めたトムでしたが、そこにはキラーが待ち構えており、トムは痛烈な仕返しを受けることになります。

その後、再びウッドベースの演奏が始まりますが、今度はキラーとジェリーが演奏者となり、トムはウッドベースの弦のように縛り付けられ、彼らの演奏に合わせて強制的に「演奏」させられるという、皮肉な結末を迎えます。

主要キャラクター

トム: トゥードルへの愛を伝えるため、ウッドベース演奏と歌で猛アタックするも、ジェリーとキラーの妨害に遭い、散々な目に遭います。最後はウッドベースに縛り付けられ、彼らの演奏の犠牲者となります。
ジェリー: トムの騒音に腹を立て、アイロン入りのパイ攻撃で反撃を開始します。キラーを解放し、トムを追い詰め、最後は彼をウッドベースに縛り付けるという、痛快な仕返しをします。
キラー: 豪邸の番犬。トムに縛られますが、ジェリーによって解放され、トムへの復讐を果たします。最後はジェリーと共にトムをウッドベースに縛り付け、演奏に参加します。
トゥードル: トムの求愛を受ける、美しい雌猫。トムの騒動をやや離れた位置から眺めています。

スタッフ

本作は、ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラの監督の下、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー・カートゥーン・スタジオで制作されました。音楽はスコット・ブラッドリーが担当し、トムの歌はルイ・ジョーダンの『Is You Is or Is You Ain't My Baby』のアレンジが使用されています。

作品の魅力

『恋ははかなく』は、トムとジェリーの定番のコミカルな追いかけっこに加え、ウッドベース演奏という新たな要素を取り入れることで、独特のユーモラスな展開を生み出しています。予測不能な展開と、キャラクターたちの個性あふれる行動は、観る者に笑いと驚きを与え続けることでしょう。トムの恋の行方、そしてジェリーとキラーの活躍は見逃せません。

関連作品

本作は、『ジェリーの日記』や『恋のとりこ』など、他のトムとジェリー作品と同様に、コミカルでスリリングな展開が魅力です。また、『映画大会』では、本作のワンシーンが回想として使用されています。

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