映画大会

トムとジェリー：映画大会の騒動

1955年、ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラ監督のもと制作されたトムとジェリーの作品、『映画大会』は、予測不能な展開と笑いに満ちた、痛快な短編アニメーションです。

物語は、トムが自身の家に、悪友のブッチ、トプシー、ライトニングを招き入れ、自作の映画の上映会を開催するところから始まります。上映されるのは、トムがスパイクをこてんぱんにする様子を映した、いわばスパイクの失敗作集です。トムと仲間たちは、スパイクの痛々しい姿に大爆笑しますが、その騒ぎを面白く思っていない者がいました。そう、ジェリーです。

ジェリーは、上映の度に邪魔者扱いされ、外に追い出されてしまいます。しかし、ジェリーはただ黙ってはいません。彼は、最終手段として、熟睡中のスパイクをトムの家へと誘導します。

トムたちの笑い声に起こされたスパイクは、窓から彼らの映画鑑賞の様子を目撃します。そこには、自分がトムに痛めつけられる姿が映し出されていました。激昂したスパイクは、家の中に乱入し、トムと彼の仲間たちを容赦なく追いかけ回します。

一方、ジェリーは8ミリカメラ片手に、この大騒動を冷静に記録していきます。スパイクの復讐劇は壮絶で、トムたちは逃げ惑うしかありません。

この作品の見どころは、なんといってもスパイクの怒りの爆発です。普段はのんびりとしたスパイクが、怒りに燃え上がり、トムたちをボコボコにする姿は、痛快で見ていて気持ちがいいものです。また、ジェリーのいたずら好きさと、状況を冷静に観察し記録する姿も、この作品を彩る重要な要素となっています。

エンドクレジットでは、スパイクがトムたちを追い回す様子がジェリーによって撮影され、「THE END」の文字が表示されます。しかし、その後のエンドクレジットは、トムとジェリー作品でおなじみのものとは異なり、テックス・アヴェリー作品等で使用されていたものとなっています。この独特の演出も、この作品をより一層魅力的なものにしています。

『映画大会』は、単純なトムとジェリーの追いかけっこだけでなく、映画というメタ的な要素を取り入れ、予測不可能な展開と笑いを生み出しています。スパイクの怒り、トムたちの苦悩、そしてジェリーのいたずらと、それぞれのキャラクターがそれぞれの役割をしっかりと演じ、見事なアンサンブルを奏でています。

本作品は、1964年から1990年頃まで、TBS系列をはじめとするテレビ局で放送され、現在ではDVDにも収録されています。一度は見ておきたい、トムとジェリー作品の中でも屈指の名作と言えるでしょう。

主要キャラクター

トム: 自宅で映画鑑賞会を開催するも、最後はスパイクの怒りを買い、逃げ回る羽目になる猫。
ジェリー: トムたちの悪巧みに対抗し、スパイクを利用して仕返しをするネズミ。
ブッチ、トプシー、ライトニング: トムの仲間たちで、映画鑑賞会に参加する猫たち。
スパイク: トムに痛めつけられた映像を見て激怒し、トムたちを徹底的に追いかける犬。

スタッフ

監督：ウィリアム・ハンナ、ジョセフ・バーベラ
製作：フレッド・クインビー
作画：ケネス・ミューズ、エド・バージ、アーヴン・スペンス、マイケル・ラー
レイアウト：ディック・ビッケンバック
背景：ベラ・オーマン
音楽：スコット・ブラッドリー

この作品は、テンポの良い展開と、予測不能な結末が魅力で、老若男女問わず楽しめる作品となっています。トムとジェリーシリーズを代表する作品の一つとして、高く評価されています。

もう一度検索