恋はドラッグ

ロキシー・ミュージック「恋はドラッグ」：音楽史に残る一曲

「恋はドラッグ」（Love Is the Drug）は、1975年にロキシー・ミュージックが発表し、世界中で大ヒットを記録した楽曲です。全英シングルチャートで2位を獲得するなど、商業的な成功を収めました。

楽曲の誕生

この楽曲は、アンディ・マッケイが1975年初めに基本的なメロディを作ったことから始まりました。マッケイは、ウーリッツァーのエレクトリックピアノを演奏中に、20世紀のクラシック音楽、特にレイフ・ヴォーン・ウィリアムズなどの作曲家から影響を受けた、イギリス的なコード進行を思いついたと語っています。また、初期教会音楽の影響を受けたフォークハーモニーの要素も感じられたそうです。

ブライアン・フェリーは、マッケイのコード進行を聴いた後、ケンジントンの自宅で歌詞を書き上げました。フェリーは、夜の街に繰り出し、クラブで刺激を求める若者のイメージを思い描いたと言います。冒頭の歌詞「T'ain't no big t'ing」は、ロキシーの衣装係であったトリニダード・トバゴ出身の友人、クリスチャンの口癖から生まれました。

ダンス・ミュージックへの変貌

ロンドンのAIRスタジオでアルバム制作中だったロキシー・ミュージックは、この曲に磨きをかけました。当初はスローでゆったりとした曲調でしたが、フェリーとポール・トンプソンがダンス・ミュージックの要素を取り入れ、大きく変化しました。プロデューサーのクリス・トーマスは、完璧なテイクが録れるまで徹底的に演奏を繰り返させ、マッケイは何時間も同じサクソフォーンのリフを吹き続けました。

リリースと成功

「恋はドラッグ」は、1975年10月3日にアルバム『サイレン』からの先行シングルとしてリリースされました。B面にはアルバム未収録の「サルタネェスク」が収録されました。シングルは全英シングルチャートで2位を記録し、Billboard Hot 100でも30位となり、アメリカでの初のヒット曲となりました。カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、ベルギー、西ドイツなど、世界各国でチャートインを果たしました。

同年10月24日に発売されたアルバム『サイレン』の1曲目にも収録されています。

ミュージック・ビデオとパフォーマンス

ミュージック・ビデオは制作されませんでしたが、シングルリリース時の1975年に、ITVの音楽番組「Supersonic」に出演し、当て振りで演奏を披露しました。フェリーは、右目にアイパッチをつけて出演した理由について、目の診察後で包帯の代わりだったと説明しています。

後世への影響

ナイル・ロジャースは、シックのヒット曲「Good Times」（1979年）のベースラインが、「恋はドラッグ」のベースラインから大きな影響を受けたと証言しています。

参加メンバー

ブライアン・フェリー - ボーカル
アンディ・マッケイ - サクソフォーン
フィル・マンザネラ - ギター
ポール・トンプソン - ドラム
エディ・ジョブソン - キーボード
ジョン・ガスタフソン - ベース

「恋はドラッグ」は、ロキシー・ミュージックの音楽性を代表する一曲として、今もなお多くの人々に愛され続けています。

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