恐怖のアーカイブ

「恐怖のアーカイブ」（Archivos del Terror）は、アルフレド・ストロエスネルがパラグアイを統治した独裁政権時代（1954年〜1989年）に関する記録文書群です。この文書群は、1992年12月22日に、人権活動家であり弁護士のマルティン・アルマダと、ホセ・アグスティン・フェルナンデス判事によって、アスンシオン郊外のランバレにある警察署で発見されました。

マルティン・アルマダは、1970年代にストロエスネル軍事独裁政権によって行われた拷問の事実を証明する文書を長年探し求めていました。ある女性からの情報提供をきっかけに、フェルナンデス判事と共に警察署を捜索し、これらのアーカイブを発見に至りました。発見された文書は、アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、チリ、パラグアイ、ウルグアイといった南米各国の治安部隊が、コンドル作戦の遂行中に拉致、拷問、あるいは殺害した数千人もの南米の人々の運命を明らかにするものでした。

2003年には、パラグアイ政府によって真実と正義委員会が設置されました。この委員会は、「恐怖のアーカイブ」と他の3つの文書資料を調査し、9,923人の人々が14,338件の人権侵害を受けたと結論付けたリストを作成しました。人権侵害の内容には、拘留、拷問、処刑、失踪、亡命などが含まれています。委員会の活動を通じて、さらに10,167人の被害者が特定されました。

2009年、UNESCO（国際連合教育科学文化機関）は、これらのアーカイブを世界の記憶プログラムに登録しました。このプログラムの目的の一つは、「恐怖のアーカイブ」を保護し、広くアクセスできるようにすることです。記録された悲劇を風化させず、人権尊重の重要性を後世に伝えるための取り組みが続けられています。

「恐怖のアーカイブ」は、南米における過去の悲劇を伝える貴重な資料であると同時に、人権と民主主義の重要性を改めて認識させるための重要な遺産となっています。

関連項目

開発独裁
白色テロ

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