恒富庵

恒富庵（つねとみあん）は、大阪市中央区高津にある高津宮の参道に位置する筆塚です。これは、日本画家である北野恒富（きたのつねとみ）を顕彰するために、昭和34年（1959年）6月、彼の13回忌を記念して門下生たちによって建立されました。

概要

恒富庵は、北野恒富の画業を讃え、その愛用の筆を納めるために建てられた筆塚です。傍らには「北野恒富先生筆塚」と刻まれた石碑が建てられており、その裏面には「北野門下生葉束会」として、恒富に師事した19名の門人の氏名が刻まれています。

碑文

石碑には、以下の碑文が刻まれています。

碑表面

恒富庵

碧

碑裏面

此の碑は北野恒富先生愛用の筆を納めた筆塚である。北野先生は石川県金沢市の出身で、若くして大阪に出で当時浮世絵の大家として令名を馳せていた稲野年恒先生に画事を学び次第に天与の画才を伸長し遂に明治大正昭和の三代に亘って美人画の領域に独自の新境地を開き幾多の名作を創り、当時の日本画壇を啓蒙されたことは遍ねく人の知るところである。先生の業績は我等後進の敬仰追慕してやまざるところであって、先生の輝ける先駆的画業を後世に伝え併せて大阪画壇の隆盛を祈念する素志を遂げんため、先生旧居の跡に筆塚を建立しこの碑文を録する次第である。

尚碑文は先生の畏友河東碧梧桐氏の筆による。 門下生識

昭和三十四年六月吉祥日之建

発起人 岩本一成 生田花朝 中村貞以 山口竹平

矢野知道人 白川朋吉 菅楯彦

北野恒富先生筆塚

碑表面には「北野恒富先生筆塚」と刻まれ、裏面には「北野門下生葉束会」と記されています。門下生葉束会には、生田花朝、大森富平、難波春秋、布二富美子、樋口富麿、池田天平、大江更園、室方介、四夷星乃、森川貞継、家川弥吉、吉川長次、松田富喬、嶋成園、星加雪乃、中村貞以、松原松栄、下村富泰、城田花乃の19名の名前が刻印されています。

北野恒富について

北野恒富は、明治から昭和にかけて活躍した日本画家で、特に美人画の分野で独自の境地を開きました。大阪画壇の発展に大きく貢献し、多くの後進を育成しました。恒富庵は、彼の功績を称え、その精神を後世に伝えるための象徴的な場所となっています。

高津宮との関連

恒富庵が高津宮の参道に建てられていることは、地域文化との繋がりを示唆しています。高津宮は古くから大阪の文化の中心地であり、多くの人々が参拝に訪れる場所です。その参道に位置することで、恒富庵はより多くの人々に知られる機会を得ています。

まとめ

恒富庵は、北野恒富の芸術を偲び、大阪画壇の隆盛を祈念する場として、今日も大切にされています。この筆塚は、恒富の門下生たちの師への敬愛の念と、大阪の美術界への貢献を後世に伝える貴重な文化遺産と言えるでしょう。

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