恥垢

恥垢（ちこう）

恥垢とは、人間の性器周辺に発生する生理的な分泌物や剥がれ落ちた皮膚の細胞などが混じり合ってできる、一種の「垢」です。具体的には、尿や精液の残りかす、男性の場合は尿道球腺、女性の場合はバルトリン腺などから分泌される粘液成分などが乾燥し、性器のひだやくぼみに固着することで形成されます。

特徴と発生部位

この物質は、一般的に灰白色から薄い黄色を呈します。質感としては、湿っている状態では粉末が押し固められたような感じや、粘土のようにまとまることもあります。日頃の洗浄が不十分だと、性器の特定の部分に蓄積しやすくなります。男性においては、特に包皮に覆われた亀頭の周辺や包皮の内側に多く見られます。一方、女性の場合、陰核の周囲や、大陰唇と小陰唇の間の溝、さらに小陰唇の内側などが主な発生部位です。

放置によるリスク

恥垢をそのままにしておくと、様々な問題を引き起こす可能性があります。まず、しばしばチーズにも似た、独特な不快な臭いを放つことがあります。これは、恥垢の中に含まれる成分が細菌によって分解される際に発生するガスが原因です。

さらに重要な問題として、恥垢は細菌や真菌（カビ）、あるいは一部のウイルスといった微生物が増殖するための温床となりやすい点が挙げられます。これにより、性器周辺に炎症やかゆみ、ただれといった症状を引き起こす可能性があります。また、性器カンジダ症や性器ヘルペスなどの性感染症にかかりやすくなる、あるいは悪化させる要因となることも知られています。長期間にわたる慢性的な刺激は、男性における陰茎がんや、尖圭コンジローマのような疾患の発症リスクを高める可能性も指摘されており、単なる不潔さにとどまらない、健康上のリスクを伴います。

清潔に保つためのケア

これらの不快な臭いや、より深刻な健康上のリスクを避けるためには、性器周辺、特に恥垢が溜まりやすい部位を清潔に保つことが非常に重要です。毎日の入浴時などに、適切な方法で洗浄する習慣を身につけましょう。

男性の場合、包皮の内側に恥垢が溜まりやすいため、洗浄する際には包皮を亀頭の根元側へと引き下げて、露出させた亀頭部や包皮の内側を優しく洗う必要があります。石鹸を使って泡立て、ぬるま湯で丁寧に洗い流します。強くこすりすぎると皮膚を傷める可能性があるため、注意が必要です。

女性の場合、小陰唇と大陰唇の間や、陰核の周囲、小陰唇の内側などを重点的に洗います。ただし、女性器の粘膜は非常にデリケートであり、また小陰唇の内側などには日常的に自浄作用や殺菌作用を持つ分泌物が存在します。そのため、ゴシゴシと強くこすり洗いするのではなく、刺激の少ない石鹸を使って泡立て、指の腹などで優しくなでるように洗うか、石鹸の泡を乗せて軽く洗い流す程度にとどめるのが望ましいです。粘膜を傷つけないように注意しましょう。

適切な洗浄は、恥垢の蓄積を防ぎ、性器周辺を健康な状態に保つために不可欠なケア習慣です。

俗称

恥垢には、一般的に使われる俗称が存在します。男性の恥垢は「チンカス」、女性の恥垢は「マンカス」と呼ばれることがあります。

関連情報

* 垢（あか）

もう一度検索