恭仁京

恭仁京（くにきょう）

概要

恭仁京は、奈良時代に存在した都城のひとつであり、現在の京都府木津川市加茂地区に位置しています。その正式名称は「大養徳恭仁大宮」で、古代日本の政治や文化が栄えた時期に重要な役割を果たしました。恭仁京の遺跡は、山城国分寺跡と重なっており、国の史跡に指定されています。

この都は、天平12年（740年）12月15日に聖武天皇の勅命により、平城京から遷都されたことから始まります。遷都の理由としては、右大臣で後の左大臣となる橘諸兄の本拠地であったためと考えられています。恭仁京は741年（天平13年）9月に左京・右京が定められ、大宮が造営されるようになりました。特に、平城京から大極殿が移築され、大宮垣が形成されていく様子が見られます。条坊地割りも行われ、木津川には大きな橋が架けられましたが、都の完成を見ることなく、743年（天平15年）にはその造営が中止される運命にありました。

このように、恭仁京は短期間での遷都と都市建設の試みが、最終的には近江紫香楽宮や難波京へと移行することにつながりました。745年（天平17年）には、再び平城京に戻ることとなり、恭仁京の役割はあっけなく終わりました。遷都の後、748年（天平18年）には恭仁宮大極殿が山背国分寺に施入されました。この宮は、南北750メートル、東西560メートルという長方形をしており、平城宮と比べてやや簡素化されていました。

発掘・調査

近年では、2015年10月8日に京都府教育委員会が恭仁宮跡で「元日朝賀」に使われたと思われる柱穴の跡を発見しました。この発見は、平城京および長岡京の遺跡に次ぐ3例目であり、国内最古の正月を祝う習俗を示す遺構とされています。教育委員会は、741年（天平13年）と742年（天平14年）に正月の儀式が行われていたと考えています。

文化財

恭仁宮跡は、1957年（昭和32年）7月1日に「山城国分寺跡」として国の史跡に指定され、その後も範囲の追加指定や名称の変更が行われています。現在の正式な名称は「恭仁宮跡（山城国分寺跡）」です。これに伴い、多くの発掘調査が行われており、当時の文化や習慣を探る貴重な材料が提供されています。

周辺情報

恭仁京の跡地は、木津川市立恭仁小学校やいくつかの寺院が隣接しており、地域の歴史を感じることができます。また、交通アクセスとしては、JR関西本線（大和路線）加茂駅から徒歩30分の距離に位置しており、訪れるのも容易です。周囲には海住山寺や常念寺といったスポットも存在し、歴史的な散策を楽しむことが出来ます。

恭仁京は、短命ながらもその歴史と遺構が未だに多くの人に関心を集めており、遺迹の発見を通じて、さらに多くの謎が解き明かされることが期待されています。

もう一度検索