恵良駅

恵良駅：久大本線沿いの歴史と文化を紡ぐ駅

大分県玖珠郡九重町右田に位置するJR九州久大本線・恵良駅は、長い歴史と変化に富んだ軌跡を持つ駅です。1929年（昭和4年）の久大本線豊後中村～豊後森間開業と同時に誕生しました。当初は単なる通過駅でしたが、1937年（昭和12年）には宮原線が分岐する重要な拠点となりました。宮原線は戦時中の1943年（昭和18年）に一時休止されましたが、戦後再開、そして1984年（昭和59年）に廃止されるまで、恵良駅は地域の交通を支えていました。

宮原線の廃止後、恵良駅の役割は変化しました。1971年（昭和46年）には貨物取扱いを廃止、1986年（昭和61年）には駅員無配置駅となり、利用客数も減少していきました。しかし、2014年（平成26年）に発生した駅舎火災は、恵良駅に新たな転機をもたらしました。焼失した駅舎は、九重町が1986年に国鉄から取得したものでした。

この火災を契機に、九重町は駅舎再建を決定。単なる駅舎の復元ではなく、地域の偉人である麻生観八の功績を紹介する「先哲史料館」を併設した新しい駅舎を建設しました。2015年（平成27年）に完成した新駅舎は、白壁とナマコ壁を組み合わせた造り酒屋風のデザインで、地域の景観に溶け込む美しい駅舎となっています。

恵良駅は、相対式ホーム2面2線の地上駅です。ホーム間は構内踏切で連絡しており、駅構内にはかつて宮原線が分岐していた痕跡が残っています。現在では無人駅となっていますが、かつては駅員が配置され、手荷物や小荷物の取扱いも行っていました。1965年（昭和40年）度は年間20万人を超える乗降客数を記録していましたが、宮原線廃止後は大きく減少、2015年（平成27年）度の1日平均乗車人員は約40人と、時代の変化を反映しています。

駅周辺には、九重町立東飯田中学校、九重町立東飯田小学校、恵良郵便局などの施設や、八鹿酒造本社、国道387号、大分県道409号下恵良九重線などが存在します。九重町営バスも乗り入れており、周辺地域へのアクセスにも便利です。恵良駅は、単なる交通の拠点としてだけでなく、地域の文化や歴史を伝える場所として、新たな役割を担っています。

恵良駅の変遷は、日本の地方鉄道の盛衰、そして地域の社会経済の変化を象徴的に物語っています。宮原線の廃止による利用客数の減少、駅舎の火災と再建、そして「先哲史料館」の併設は、恵良駅が時代とともに変化し、地域社会に貢献しようとする姿勢を示しています。この駅舎は、単なる駅舎としてだけでなく、地域の活性化のシンボルとして、これからも地域住民の生活に寄り添い、未来へと繋がる存在であり続けるでしょう。

駅構造

駅種別：地上駅
構内構造：相対式ホーム2面2線
その他：構内踏切、かつての宮原線跡が残存

利用状況

1965年（昭和40年）：年間乗降客数20万人以上
1985年（昭和60年）：宮原線廃止後、年間乗降客数5万人以下に減少
2015年（平成27年）：1日平均乗車人員約40人

周辺情報

九重町立東飯田中学校
九重町立東飯田小学校
恵良郵便局
明厳寺
ENEOS セルフ九重SS
恵良交通センター
八鹿酒造本社
国道387号
大分県道409号下恵良九重線
九重町営バス路線

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