恵那司千浩

恵那司 千浩

恵那司 千浩（えなつかさ かずひろ）は、1979年7月9日生まれ、岐阜県恵那市（旧明智町）出身の元大相撲力士です。本名を水野 千浩といい、現役時代は入間川部屋に所属しました。

経歴

恵那司は、2歳の時に父親を亡くし、母親と兄との三人家族で育ちました。小学生の頃には、家計を助けるために新聞配達の仕事を手伝っていたといいます。

中学卒業後、相撲の道に進むことを決め、入間川部屋に入門しました。そして、1995年5月場所において初土俵を踏み、力士としてのキャリアをスタートさせました。

番付を順調に上げ、2000年3月場所で自身最高位となる西幕下20枚目まで昇進を果たしました。しかし、残念ながら幕内の地位である関取への昇進は実現せず、現役後半は幕下と三段目の間を行き来する日々が続きました。力士としては身長179cm、体重140kgという体格を持ち、得意手は押し、左四つ、寄りでした。また、力士としては珍しく、相撲甚句の担当を務めることもありました。血液型はB型で、趣味は温泉サウナ巡りや食べ飲み歩きを楽しむことでした。

大相撲八百長問題への関与と引退

2011年に発覚した大相撲野球賭博問題に関する調査の過程で、恵那司の力士人生は大きく揺らぐことになります。元幕内・春日錦（22代竹縄）や千代白鵬の携帯電話から、清瀬海と恵那司が八百長を計画していたと思われる電子メールが見つかったのです。この発見により、恵那司は八百長における「中盆」、すなわち仲介役として普段から関わっていたのではないかとの疑いが強く持たれました。

調査委員会から自身の携帯電話の提出を求められましたが、恵那司は同年2月2日に機種変更をしたという理由でこれを拒否しました。しかし、その後の聞き取り調査において、自身が八百長に関与していた事実を認めました。これにより、日本相撲協会に引退届を提出しましたが、この時点では受理されずに保留とされました。

同年4月1日、日本相撲協会は恵那司に対し、出場停止2年という処分を発表しました。同日に公表された謝罪文の中で、恵那司は「私は無気力相撲を取ったことはありません」と主張しつつ、「番付上位の無気力相撲の依頼を断れなかった」「金銭や自身の地位のために行ったのではない」などと釈明しました。しかし、実際には春日錦に対して具体的な取組内容（旭南海から豊桜への貸しの移行、豊桜との対戦での敗北、新たな八百長グループへの参加）を示唆するメールを送信していたことや、千代白鵬に対し金銭（「5万もないのかな」）に関するメールを送っていたことが判明しており、謝罪文の内容との間に矛盾があることが明らかになりました。

同年4月2日、師匠である16代入間川親方（元関脇・栃司）から日本相撲協会へ引退届が提出され、正式に受理されました。そして、同年4月23日には、同様に八百長への関与を認め引退勧告処分を受けた元幕内・将司とともに、所属していた入間川部屋で断髪式を執り行い、力士としての生活に終止符を打ちました。

引退後の活動

相撲界を去った後、恵那司は新たな道を模索します。2012年3月1日には、東京地方裁判所で行われた蒼国来の地位確認訴訟に証人として出廷し、八百長問題発覚以来、初めて公の場に姿を見せました。法廷では、「蒼国来の八百長を5回以上仲介したことがある」「（春日錦対蒼国来戦における仲介について）そうだったのかなと思うが、複数回あったため記憶が定かではない」と証言しました。

学業にも取り組み、2011年11月に高等学校卒業程度認定試験に合格しました。そして、2012年4月には柔道整復師を目指し、愛知県稲沢市にある専門学校に入学しました。専門学校で学び、柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師といった複数の医療系国家資格を取得しました。資格取得後、2018年12月まで鍼灸接骨院でスタッフとして勤務し、臨床経験を積みました。その後、独立を果たし、現在は名古屋市内に「えな鍼灸接骨院」を開業し、医療従事者として活躍しています。

戦績・改名歴

通算成績: 335勝320敗3休（95場所）
改名歴: 水野 → 恵那司

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