悪魔の追跡

悪魔の追跡

映画『悪魔の追跡』は、1975年にアメリカ合衆国で公開された作品です。原題は『Race with the Devil』。この映画は、1970年代に大きな盛り上がりを見せたオカルト映画ブームの中で生み出されました。

作品の特徴

本作はオカルト・スリラーを基軸としながらも、同時代の代表的なオカルト映画である『エクソシスト』や『オーメン』とは一線を画しています。具体的には、生々しいスプラッター描写は抑えられている点が特徴です。その代わりに、物語には迫力あるカーアクションや緊迫感に満ちた銃撃戦といった要素が積極的に取り入れられています。これにより、ロードムービーのような独特の雰囲気が醸し出されており、ジャンルミックスの妙を感じさせます。大作映画にはない、B級映画ならではの荒削りながらも勢いのある作風が、多くの観客を魅了し続けています。

あらすじ

物語の始まりは、バイク工場を共同経営する友人同士であるロジャーとフランクが、それぞれの妻であるケリー、アリスと共に休暇を取るところからです。彼らは新しく購入したキャンピングカーに乗り込み、目的地であるコロラド州を目指して旅に出ます。

旅の途中、テキサス州の人里離れた荒野で一夜を過ごすことにした一行でしたが、そこで恐るべき光景を目撃してしまいます。それは、悪魔を崇拝する集団が、若い女性を生贄とするおぞましい儀式を執り行っている最中でした。さらに不幸なことに、彼らはその集団に儀式の目撃者として気づかれてしまいます。

命の危険を感じたロジャーたちは、すぐにその場を離れ、最寄りの町の警察署に駆け込みます。しかし、悪魔崇拝の儀式を目撃したという彼らの訴えは、真剣に取り合ってもらえません。警察にも頼れない状況の中、彼らは行く先々で悪魔崇拝者集団からの執拗な嫌がらせや追跡を受けるようになります。追い詰められたロジャーたちは、もはや逃げるだけではダメだと悟り、自らの身を守るため、銃器を購入して応戦することを決断します。

ここから、悪魔崇拝者集団と主人公たちの間での壮絶な追跡劇が展開されます。彼らは襲い来る追跡者たちを退けながら、必死に逃亡を続けます。緊迫感あふれるカーチェイスや予測不能な展開が続き、観客は主人公たちと共に手に汗握ることになります。しかし、長い逃亡の末、彼らがたどり着いた場所には、想像を絶する衝撃的な結末が待っていました。

関連情報

本作のキャストに関する詳細な情報は少ないですが、DVD版にはノーカットの日本語吹替が収録されており、より手軽に作品を楽しむことができます。また、作中に登場する悪魔崇拝者集団は、歴史上の悪名高い組織であるクー・クラックス・クランを暗喩しているという解釈も存在します。映画史的な繋がりとしては、本作で主演の一人を務めたピーター・フォンダが主演・脚本・製作を手がけたロードムービーの金字塔『イージー・ライダー』と、雰囲気に共通点が見られるという声もあります。さらに、2011年に公開されたアメリカ映画『レッド・ステイト』の監督が、本作から大きな影響を受けたことを公言しており、後世のクリエイターにも刺激を与えていることがわかります。

『悪魔の追跡』は、オカルトホラー、カーアクション、ロードムービーといった複数の要素を巧みに融合させた、B級映画の佳作として今なお評価の高い作品です。その独特の世界観と、観客の予想を裏切る結末は、一度観たら忘れられないインパクトを残すでしょう。

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