情報通信法案

情報通信法案とは

情報通信法案は、日本の放送と通信の融合を目的として検討されている法案です。総務省の情報[[通信政策局]]が2006年8月に設置した研究会の中間提言で提唱されました。

法案の概要

この法案は、放送と通信の融合、及び両分野間の相互参入と競争の促進を目的としています。現状では、電波法、放送法、電気通信事業法など、個別の法律で規制されている放送・通信関連の法律を「情報通信法」（仮称）として一本化することを目指しています。

この法案では、現在の放送と類似したコンテンツ配信サービスを「メディアサービス」（仮称）として統合的に規制します。メディアサービスは、地上テレビ放送を想定した「特別メディアサービス」と、衛星放送や有線テレビ、インターネット上の映像配信を含む「一般メディアサービス」の2つに区分されます。これまで規制対象外だったインターネット上の映像配信も規制対象に含まれる点が大きな特徴です。

さらに、インターネット上のホームページ、掲示板、ブログ、インターネットラジオ、インターネットテレビなど、「公然性を有する通信」を「公然通信」（最終報告では「オープンメディアコンテンツ」）と定義し、規制の対象とすることも検討されています。この定義に従うと、インターネット上のほぼすべての情報発信が規制対象となる可能性があります。

法案の背景と課題

放送分野のみを対象とした規制が現状であるため、公然通信についても違法・有害コンテンツ流通に対する対策を制度化するべきであるという意見があります。しかし、通信の秘密保護の観点から、プロバイダ責任制限法などを除き、インターネット上の情報発信に対する規制は制度化されていません。

この法案では、違法・有害コンテンツの流通に関して、関係者が守るべき共通ルールを策定し、プロバイダがコンテンツを削除したりレイティングしたりする際の法的根拠とする方針です。また、青少年保護育成条例などを参考に、特定の行為に対して一定の範囲で規制を行うゾーニング規制の導入も検討されています。

一方で、放送・通信事業は、有限な電波資源を活用するという観点から、またその公共性から、一般的に禁止・制限されており、事業者である放送局は、行政機関から特別に許可を得た上で免許制という規制を受けています。しかし、個々人の表現の自由を尊重する観点や、米国で同様の規制を目的とした立法が憲法違反と判断されている事例があることなどから、事業者と同等の基準で一般個人の情報発信を規制することには、慎重な議論が必要であるという意見もあります。

法案の今後

総務省は、この中間報告に対するパブリックコメントを受け付け、2007年12月5日には、2011年の情報通信法公布・施行を目指すべきであるとする最終報告を公表しました。しかし、法案の内容や規制の範囲については、依然として議論の余地が多く、今後の動向が注目されます。

関連情報

日本における検閲
ネット検閲
青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律
インターネット・ホットラインセンター
放送倫理・番組向上機構
通信・放送の在り方に関する懇談会
通信・放送産業高度化小委員会
パブリック・アクセス

外部リンク

通信・放送の総合的な法体系に関する研究会（総務省）
通信・放送の総合的な法体系に関する研究会 中間取りまとめ (PDF) （総務省）
総務省]-「[通信・放送の総合的な法体系に関する研究会　中間取りまとめ」に対する意見募集（総務省）
日弁連 - 放送が危ない！！放送法に関するシンポジウム（日本弁護士連合会）

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