愛と虐殺の日々

聖飢魔II『愛と虐殺の日々 歴代小教典大全』：初期楽曲を網羅した集大成

1991年12月13日、聖飢魔IIの8作目のアルバム『愛と虐殺の日々 歴代小教典大全』がソニー・ミュージックレコーズよりリリースされました。2枚組CDと2本組カセットテープの2形態で発売された本作は、1986年から1991年までに発表されたシングル曲、B面曲、そしてアルバム未収録楽曲を網羅した、まさに初期聖飢魔IIの集大成と言える作品です。

制作背景：バンドの転換期と制作過程

前作『有害』発表後、聖飢魔IIは映画『陽炎』の主題歌「赤い玉の伝説」、そして期間限定のコンセプト・バンド「爆裂聖飢魔II」名義で「夏休み」を発表しました。しかし、爆裂聖飢魔IIのプロジェクトはメンバーにとって不本意なものであり、バンド内部やマネージメントとの間で認識のずれが生じ始めていたようです。

当時、バンドは制作面でも行き詰まりを感じており、メンバーの提案を基に、従来とは異なるアプローチを試みることになりました。 マネージメント側とレコード会社側との間ではバンドイメージに対する認識に大きな違いがあり、その葛藤の中で本作が制作されたと言えるでしょう。さらに、同年にはセビリア万国博覧会プレイベントへの参加、ロンドン、ニューヨークでのミサ開催など、海外進出に向けた動きもありましたが、アメリカでのデビューは頓挫しています。

収録内容：シングル曲からレア音源まで

『愛と虐殺の日々 歴代小教典大全』には、1986年の「蝋人形の館」から1991年の「赤い玉の伝説」までの全11作のシングル曲とカップリング曲が収録されています。 さらに、爆裂聖飢魔IIの「夏休み」や未発表曲「GOOD NIGHT MELODIES」も収録されており、ファンにとっては貴重な音源となっています。中にはレコード限定で既に廃盤となっていた楽曲や、アルバム未収録だった曲も含まれており、まさにコレクターズアイテムと言えるでしょう。

収録されている楽曲の中には、大教典とは異なるバージョンで収録されているものや、小暮閣下のMCが入ったバージョンなど、聴き比べを楽しむことができるアレンジも施されています。また、シングル曲のB面としてのみ収録されていた楽曲も、本作で初めて大教典に収録された点も見逃せません。爆裂聖飢魔IIの楽曲について、メンバーは制作過程や当時の状況を振り返り、その経緯や意図を語っています。それは、バンドのアイデンティティや音楽性の模索、そして制作サイドとの関係性の複雑さを示唆するものでした。

リリースと反響：商業的成功と評価

本作は2枚組CDと2本組カセットテープで発売され、帯には「地球に降りた悪魔達の血と汗と涙の結晶、愛と非道の集大成。究極のシングルス・コレクション。」というキャッチコピーが記載されました。CDには聖飢魔IIのディレクターである丸沢氏のコメントや、メンバーの戦闘服の写真が掲載されたブックレットが付属していました。

音楽情報サイト『CDジャーナル』では、未発表曲の収録や演奏技術の向上を評価しつつも、全26曲を聴くのは大変だと指摘しています。それでも、聖飢魔IIがマンネリを避け、常に変化を追求している姿勢は高く評価されました。オリコンチャートでは最高16位を記録し、約6万枚の売上を記録しました。その後、1994年にはMD版、2013年にはソニー在籍時の全シングル曲を収録した『愛と虐殺の日々〜歴代小教典 ソニー時代完全盤〜』として3枚組CDで再リリースされています。

『愛と虐殺の日々〜歴代小教典 ソニー時代完全盤〜』：完全版の登場

2013年11月27日には、『愛と虐殺の日々〜歴代小教典 ソニー時代完全盤〜』がリリースされました。 本作は『愛と虐殺の日々 歴代小教典大全』をリニューアルし、ソニー在籍時代のシングル曲、カップリング曲を網羅した3枚組Blu-spec CD2仕様の作品です。 アルバム未収録だった楽曲や、テレビ番組用の企画として録音された「BAD AGAIN 〜美しき反逆〜」の広東語バージョンなども収録されており、聖飢魔IIのソニー時代を完全網羅した、究極のベストアルバムと言えるでしょう。ジャケットデザインも刷新され、聖飢魔IIの小教典バージョン楽曲が初めて網羅された点も大きな特徴です。

まとめ：聖飢魔IIの軌跡と音楽性の進化

『愛と虐殺の日々 歴代小教典大全』と『愛と虐殺の日々〜歴代小教典 ソニー時代完全盤〜』は、聖飢魔IIの初期から中期にかけての楽曲を網羅した作品であり、バンドの音楽性の進化、そして制作背景を知る上で重要な作品となっています。様々なバージョンやレア音源を含むこれらの作品は、聖飢魔IIファンにとって、まさに「究極のシングルコレクション」と言えるでしょう。

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