愛のリメンバー

寺内タケシとバニーズによるシングル「愛のリメンバー」は、1967年10月20日に発表された楽曲です。このシングルは、彼らの前作「運命」の発売からわずか20日という短い期間でリリースされました。

楽曲の誕生と特徴

この「愛のリメンバー」は、寺内タケシとバニーズのメンバーである鈴木義之が作詞と作曲の両方を手がけた作品です。バニーズの楽曲として、メンバーの鈴木義之が単独で作詞・作曲を担当したのは、この曲が最初であり、かつ最後となりました。

それまでの寺内タケシとバニーズのサウンドは、リーダーである寺内タケシのエレキギターをフィーチャーした、しばしばインストゥルメンタル主体の、ロックやグループ・サウンズ特有の激しいサウンドが特徴でした。しかし、「愛のリメンバー」では、そのスタイルから一歩踏み出し、流麗で柔らかなストリングスアレンジを前面に押し出した、よりメロディアスでポップス寄りの楽曲へと変化を遂げています。

ボーカルは、作詞・作曲者である鈴木義之と、同じくメンバーの黒沢博がデュエットで担当しました。二人のハーモニーとストリングスの組み合わせが、これまでの彼らのイメージとは異なる、繊細で叙情的な雰囲気、すなわちバラードとしての魅力を生み出し、楽曲に新たな魅力を加えています。

商業的な成功とメディアでの露出

「愛のリメンバー」は、リリース後にオリコンチャートで最高35位にランクインし、およそ4.5万枚のセールスを記録しました。これは当時のシングル盤としてはまずまずのヒットと言える数字であり、この楽曲が多くのリスナーに受け入れられたことを示しています。

当時の寺内タケシとバニーズは、日本テレビで放送されていた人気の音楽バラエティ番組『プラチナゴールデンショー』にレギュラー出演していました。この番組において、「愛のリメンバー」は頻繁に歌唱され、テレビを通じて全国の視聴者に広く知られることとなりました。番組でのパフォーマンスは、楽曲の認知度を高め、ヒットに繋がる重要な要素となりました。

カップリング曲「二人の噴水」

シングルのB面には、「二人の噴水」という楽曲が収録されています。この曲は、作詞をささきひろと、作曲を荻野達也が担当しました。「愛のリメンバー」とは異なり、この楽曲には女性によるスキャットが導入されており、軽快でモダンなサウンドが特徴です。カップリング曲もまた、バニーズの音楽性の多様性を示す一例と言えるでしょう。

後世への影響とカバー

「愛のリメンバー」は、発表後も他のアーティストによってカバーされ、歌い継がれています。主なカバーバージョンとしては、以下が知られています。

スラップスティック: 1980年発売のアルバム『モロGS』に収録。
近田春夫&ハルヲフォン: 1994年発売のアルバム『ハルヲフォン・メモリアル』に収録。

これらのカバーは、本楽曲が発表から時を経てもなお、日本の音楽史において一定の存在感を示し続けていることを物語っています。

「愛のリメンバー」は、寺内タケシとバニーズが従来の枠を超え、新たな音楽表現を試みた意欲作であり、グループの歴史の中でも特異な位置を占める楽曲です。ストリングスを取り入れたアレンジやメンバーによるデュエットボーカルなど、当時のグループ・サウンズとしては挑戦的な要素を含んでおり、その後の日本のポップスにおけるストリングス導入の流れにも影響を与えた可能性も指摘されています。この楽曲を通じて、寺内タケシとバニーズの多様な音楽性と、1960年代後半の日本のポピュラー音楽の豊かな広がりを感じ取ることができます。

関連事項

* 1967年の音楽シーンに関連する楽曲として重要視されます。

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