愛の世代の前に

浜田省吾『愛の世代の前に』：愛と平和へのメッセージ

『愛の世代の前に』は、1981年9月21日にリリースされた浜田省吾の7枚目のアルバムです。この作品は、1982年1月12日に行われた浜田省吾初の日本武道館公演に向けて制作されました。

制作背景

アルバム制作は、ディレクターの須藤晃からの提案で始まりました。当初、浜田省吾は制作期間の短さから難色を示しましたが、須藤の説得を受け、六本木に借りたワンルームマンションで曲作りを開始。驚くべきことに、短期間で楽曲が完成し、わずか2週間でレコーディングを終えました。

アルバムタイトルには、「地球上から核兵器が根絶されない限り、真の愛の世代は訪れない」というメッセージが込められています。このテーマは、収録曲にも反映されており、平和への願いが込められています。

アルバムジャケット

ジャケットのデザインは、浜田省吾が敬愛するジャクソン・ブラウンのアルバム『Late For The Sky』に影響を受けています。ジャケットには「I was born in 1952」という言葉が記されており（1999年以降の再発盤では「Born in 1952」）、自身の世代への意識を示しています。CDは再発のたびに、ブックレットや歌詞カード、裏ジャケットのデザイン、写真が変更されています。

記録と影響

発売当時、オリコンアルバムチャート（LP）での最高位は12位でしたが、1992年にテレビドラマ『愛という名のもとに』の主題歌として「悲しみは雪のように」の再録バージョンが起用されたことで、アルバムもリバイバルヒットしました。1990年再発CD盤は、オリコンチャートで最高2位を獲得し、14週連続でトップ10入り。年間チャートでも19位を記録し、レコードとCDの累計で90万枚近くを売り上げました。1996年時点での累計売上は1,223,256枚に達しています。

収録曲について

アルバムには、多様なテーマの楽曲が収録されています。

愛の世代の前に: 反核をテーマにしたロックナンバーで、歌詞に登場する「一瞬の閃光」は原爆を指しています。
モダンガール: 2003年にシングル「君に捧げるlove song」のカップリング曲としてリメイクされました。
愛という名のもとに: 後にテレビドラマのタイトルとしても使用されました。
独立記念日: 教科書問題にも触れたロックナンバーです。
陽のあたる場所: 心温まるメロディが印象的な楽曲です。
土曜の夜と日曜の朝: 週末の情景を描いたナンバーです。
ラストショー: バラードコレクション『EDGE OF THE KNIFE』とは異なるアレンジが施されています。
センチメンタルクリスマス: シングル「悲しみは雪のように」のB面曲で、アルバム『CLUB SNOWBOUND』でセルフカバーされました。
悲しみは雪のように: ドラマ主題歌として大ヒットしたオリジナルバージョンです。
防波堤の上: 虚無感をテーマにした楽曲で、2019年のファンクラブ限定ライブで初めて披露されました。

『愛の世代の前に』は、浜田省吾の音楽キャリアにおいて重要な作品であり、彼のメッセージが強く込められたアルバムです。時代を超えて、聴く人の心に響く名盤と言えるでしょう。

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