愛新覚羅奕劻

愛新覚羅 奕劻の生涯

愛新覚羅 奕劻（あいしんかくら えききょう）は、清末から中華民国初期にかけて重要な役割を果たした皇族です。彼は道光18年2月29日（1838年11月16日）に生まれ、1917年1月28日に亡くなるまで、様々な公職を歴任しました。

生い立ちと初期の経歴

奕劻は輔国公綿性の長男として誕生し、早くから伯父の鎮国公綿悌の養子となりました。1850年に輔国将軍を襲名したことを皮切りに、彼の公務人生はスタートします。間もなくして、1852年には正月にベイセ（貝子）に封じられ、1860年には咸豊帝の誕生日を祝してベイレ（貝勒）に昇格しました。

その後も順調に昇進を重ね、同治帝の結婚に伴い1872年には郡王に任じられます。1894年には西太后の還暦祝いを受け、慶親王に封じられました。この時期はまた、日清戦争が勃発する前夜でもありました。

政治的役割と外交活動

奕劻は特に外交の分野での活躍が顕著でした。彼は1884年に総理各国事務衙門を預かり、様々な国との交渉に従事しました。また、義和団の乱の際には西太后が避難する中、自らは北京に留まり、李鴻章と共に和平交渉を行いました。最終的に、北京議定書に基づく様々な国との合意に導くことで、国際的な信用を保つために尽力しました。

1903年には外務部の総理部事にも任命され、軍機大臣も兼任するなど、政務に幅広く関わりました。こうした功績は清朝の安定に寄与し、彼の名声を高めます。

内閣統治者としての登場

1911年には、転機が訪れます。軍機処を廃止し、新たに内閣制度が導入されると、奕劻は初代内閣総理大臣として慶親王内閣を組閣しました。しかし、この政府は皇族が多数を占めていたため、不人気を博することとなりました。8月には武昌起義が勃発し、辛亥革命の影響で内閣は崩壊します。

その後、奕劻は袁世凱を新しい総理として迎え入れ、自身は皇帝の顧問の地位に収まります。中華民国の成立後は、一族と共に外国に移住し、1950年代には再び北京に戻ります。

家族構成

奕劻には6人の妻がおり、7人の男子と12人の女子がいました。特に彼の長男・載振は博覧会に参加するため、日本にも訪れるなど、国際交流にも関与しています。彼の家族は清朝の中でも特別な地位を持っていました。

評価と遺産

奕劻の評価は歴史的には賛否が分かれます。彼は時に「愚昧な汚職官吏」と呼ばれることもありましたが、実際には清末の改革において積極的に取り組む姿勢を見せました。沈家本の法制度構築を支持するなど、清朝の近代化に役立つよう努めました。彼の人生は、華やかな時代の陰には変化に満ちた挑戦があったことを物語っています。

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