愛知万博の交通

愛知万博の交通：会場内外を結んだ革新的な交通システム

2005年に開催された愛知万博（愛・地球博）では、会場内の移動や会場へのアクセスを円滑にするため、様々な交通機関が導入されました。これらの交通システムは、環境への配慮や混雑緩和を目指し、博覧会の成功に大きく貢献しました。

会場内の交通

ゴンドラ

モリゾー・ゴンドラ（無料）: 長久手会場の企業パビリオンゾーンBと瀬戸会場の市民パビリオンを結び、約2kmの距離を8人乗りで移動しました。住宅地付近を通過する際には、プライバシー保護のため、ガラスが白く曇る特殊な仕掛けが施されていました。期間中、約336万人を輸送しました。
キッコロ・ゴンドラ（有料、片道600円）: 長久手会場の企業パビリオンゾーンBとグローバル・コモン4を結び、約1kmの距離を8人乗りで移動しました。期間中、約434万人を輸送しました。

バス

IMTS（愛・地球博線）: 長久手会場内の4つの駅（北ゲート、西ゲート、EXPOドーム、メッセ前バス停）を結びました。天然ガスを燃料とする大型低公害バスを使用し、北ゲート - EXPOドーム間は専用路を自動運転で、西ゲート - メッセ前間は通常道路を運転手による運転で運行しました。自動運転区間では、運転席にモリゾーとキッコロのぬいぐるみが置かれていました。期間中、約179万人を輸送しました。
会場間燃料電池バス（FCHV-BUS・無料）: 長久手会場と瀬戸会場を結びました。燃料電池とニッケル水素電池を動力源とし、排気ガスの代わりに水を出す環境配慮型ハイブリッドバスでした。一般道（グリーンロード）を走行し、車内ではアニメーションが放映されていました。混雑時には一般バスによる臨時運転も行われ、期間中約100万人を輸送しました。閉幕後は、路線バスや空港内のランプバス、リムジンバスとして活用されました。

グローバル・トラム

グローバル・ループ上に設けられた4つの停留所を結ぶ電気自動車でした。歩行者と同じくらいの速度（時速5km）で走行し、係員が先導して安全を確保していました。入場者数が多い時は運行不能となることもありました。期間中約110万人を輸送しました。博覧会終了後、ナガシマスパーランドや錦川鉄道などで再利用されました。

自転車タクシー

グローバル・ループ上を走る電動アシスト自転車のタクシーでした。4種類の車両があり、定員は大人2名（子供含む場合は3名）でした。停留所以外での乗降はできませんでしたが、ドライバーが会場のガイドを行うなど、フレンドリーなサービスが提供されました。期間中約32万人を輸送しました。

会場への交通

鉄道

リニモ（東部丘陵線）: 藤が丘駅と万博八草駅（現在の八草駅）を結ぶ、日本初の磁気浮上式鉄道（リニアモーターカー）の常設実用路線として、博覧会開幕前に開業しました。長久手会場の最寄駅である万博会場駅（現在の愛・地球博記念公園駅）へのアクセスを担いましたが、混雑が激しく、乗車待ち時間が長くなることもありました。混雑を避けるため、一旦八草方面へ向かい、折り返す方法をとる人もいました。リニモは、愛知万博での実績が認められ、台湾でも採用される予定でしたが、実際には建設されていません。
エキスポシャトル: JR名古屋駅から万博八草駅へ直通する臨時列車でした。日本国際博覧会協会では、名古屋駅から鉄道で会場へ向かう場合には、「エキスポシャトル」の利用を推奨していました。しかし、空いていることが知られるようになってからは「エキスポシャトル」も混雑するようになりました。

バス

名古屋駅、尾張瀬戸駅、黒笹駅、藤が丘駅、万博八草駅などから、長久手会場または瀬戸会場へのシャトルバスが運行されました。これらのシャトルバスは、リニモに比べて比較的席が確保しやすいという側面もありました。関東・中部・近畿各圏内からも万博会場方面への連絡バスが出ていました。

乗用車

交通渋滞の緩和のため、会場周辺の専用駐車場に車を止め、シャトルバスに乗り換えるパークアンドライドが実施されました。会場周辺3km圏内は自家用車の通行が禁止されていました。

航空

中部国際空港（セントレア）が開幕に先立って開港し、そこから金山駅経由で「エキスポシャトル」に乗車して来場するように呼びかけられました。

愛知万博では、これらの多様な交通システムを組み合わせることで、多くの来場者を円滑に輸送し、博覧会の成功に貢献しました。これらの交通システムの多くは、博覧会後も再利用され、地域社会に貢献しています。

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