愛知電気鉄道デキ370形電気機関車

愛知電気鉄道デキ370形電気機関車

愛知電気鉄道デキ370形電気機関車は、愛知電気鉄道（現名古屋鉄道）によって新たに製造された直流用電気機関車です。この機関車は、1925年にボールドウィン社とウェスティングハウス社によって設計され、名古屋鉄道設立後もその形式名は変わらずデキ370形として親しまれています。

製造背景

デキ370及び370形の初期モデルであるデキ371は、ボールドウィン社によって提供された車体と台車をベースにしており、電装品に関してはウェスティングハウス社からの輸入品が使われていました。1925年にこれらの2両が海外から輸入され、さらに1928年から1929年にかけてデキ372からデキ374、デキ376からデキ379の7両が追加製造されました。後の車両は日本車輌製造本店により製造されましたが、電装品は引き続きウェスティングハウス社のものが用いられています。

車両の改番と運用

愛知電気鉄道が名古屋鉄道と合併した際、大規模な車両改番が実施され、従来の附番方法は廃止されました。これにより、デキ370形はデキ371からデキ379に改番されました。基本的には直流1,500Vで運用される電化区間向けですが、最初に製作されたデキ370とデキ371の2両は直流600Vと直流1,500Vの複電圧対応となっていました。これにより、渥美線や西尾線、瀬戸線といった当時の直流600V電化路線においても運用されることがありました。

使用状況と歴史

1960年代後半には名鉄の貨物取り扱いが減少したこともあり、デキ370形は順次廃車の道をたどりました。しかし、1978年には瀬戸線が直流1,500Vに昇圧され、デキ376が同線に転属しました。その後、3780系電車の牽引に使用される工事列車も存在しましたが、3780系が廃車となったため、代替に1996年にデキ379が瀬戸線へ転属してきました。1997年にはデキ378が新川工場から舞木検査場に移動しました。

特にデキ379は1994年に更新工事が行われ、塗装がメイテツブルーに変更されるなどして新しい姿に生まれ変わりました。運転台や窓の構造も更新されましたが、残りのデキ376とデキ378はそのままの状態が維持され、名鉄において最後の黒色塗装の電気機関車となっていました。しかし、2007年には瀬戸線の2両が喜多山車庫の閉鎖に伴い廃車され、本線に所属するデキ378も老朽化から廃車となりました。

主要諸元

この機関車の主な諸元は以下の通りです。

• - 全長：9,198mm（571・572）、9,258mm（573～579）
• - 全幅：2,489mm
• - 全高：3,769mm
• - 自重：24.82t（371・372）、24.31t（373・374）、24.8t（375～379）
• - 電気方式：直流1500V
• - 軸配置：B+B
• - 台車形式：BW（371・372）、BW（日車）（373～379）
• - 主電動機：WH550-JF-6（48.5kW）×4基
• - 制御方式：直並列切り替え抵抗制御単位スイッチ式

デキ370形は、歴史的価値や性能を持っており、長い間鉄道の運行に貢献しました。今なお、多くの鉄道ファンに愛され続けています。

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