慕容忠 (前燕)

慕容忠（ぼよう ちゅう、生没年不詳）は、五胡十六国時代の前燕に仕えた人物で、昌黎郡棘城県の出身です。

生涯

慕容忠は前燕において寧東将軍に任じられ、軍事面で活躍しました。建熙4年（363年）4月には、滎陽を攻め落とすという功績を挙げています。この時、東晋の滎陽郡太守であった劉遠は、敗れて魯陽へと逃れました。慕容忠は、その勢いのまま金郷へ進軍しています。

同年5月には、密城を攻略し、劉遠をさらに江陵へと敗走させました。これらの戦果により、慕容忠は前燕における地位を確立しました。

しかし、建熙10年（369年）6月、東晋の建威将軍である檀玄が、慕容忠が守る湖陸を攻めました。この戦いで湖陸は陥落し、慕容忠は捕らえられてしまいました。この敗北は、慕容忠の運命を大きく左右することになります。

湖陸で捕らえられた後の慕容忠に関する記録は、史書には残されていません。そのため、彼の晩年や最期については不明な点が多く、歴史の闇に包まれています。

慕容忠の生涯は、前燕という短命な王朝の興亡を象徴しているかのようです。彼は、一時は敵を圧倒するほどの勢いを見せましたが、最終的には東晋の反撃に遭い、捕らえられて歴史から姿を消しました。彼の事績は、五胡十六国時代の激しい戦乱と、その中で生きた人々の運命を物語るものとして、後世に語り継がれています。

参考文献

『晋書』巻98、巻111
『資治通鑑』巻101 - 巻102
* 『十六国春秋』巻28 - 巻29

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