慶光院俊

慶光院俊（けいこういん しゅん）

慶光院俊は、明治36年（1903年）3月12日に生まれ、平成2年（1990年）3月20日に没した、昭和から平成にかけての日本の神職です。伊勢神宮の大宮司を務め、神道界に大きな足跡を残しました。

生涯

三重県で生まれた慶光院俊は、父・利敬が二条斉敬の息子であったため、藤原鎌足の直系の子孫にあたります。しかし、庶子であったため家督を継ぐことはなく、後に分家しました。

大正5年（1916年）には三重県立第四中学校に入学し、映画監督として著名な小津安二郎と同級生でした。昭和2年（1927年）3月には神宮皇學館第1本科を卒業しました。

東照宮祠官時代

神宮皇學館卒業後、日光東照宮に赴任し、昭和3年（1928年）には同宮の主典に任じられました。この頃、同級生の小津安二郎から映画撮影の依頼を受け、陽明門前での撮影を許可したエピソードが残っています。

諸社を転任して

昭和12年（1937年）には鶴岡八幡宮の禰宜に就任し、その後、熱田神宮の権宮司、愛知縣護國神社の社司、結城神社の宮司を歴任しました。

神宮祠官として

昭和19年（1944年）に伊勢神宮の禰宜に転任し、神宮司庁では文化課長、秘書課長、秘書部長を歴任しました。また、皇學館の再興にも尽力し、五十鈴会の常任理事を務めました。

皇學館高等学校の保護者会初代会長に就任するなど、教育分野にも貢献し、昭和46年（1971年）には学校法人皇學館大学の常任理事に就任しました。

神宮少宮司

昭和49年（1974年）には伊勢神宮の少宮司に任じられ、神社本庁の理事となりました。昭和天皇への拝謁の機会も多く、式年遷宮後の神宮参拝や訪米帰国奉告参拝の際に供奉しました。

昭和51年（1976年）には、従兄にあたる二条弼基が大宮司に就任し、大少宮司を親族同士が務めることとなりました。皇學館大学創立百周年記念事業にも尽力し、『神宮古典籍影印叢刊』の顧問を務めました。

昭和56年（1981年）には、50年以上の長きに亘る神明奉仕の功労により、神社本庁長老の称号と鳩杖を贈られました。

神宮大宮司

昭和60年（1985年）10月7日、慶光院俊は伊勢神宮の大宮司に昇任しました。少宮司から大宮司への昇進は異例のことであり、彼の神道界における功績が認められた結果と言えるでしょう。大宮司として、昭和天皇への拝謁を重ね、神宮の祭祀を執り行いました。

昭和62年（1987年）には、善知鳥神社の正遷座1180年祭を記念して、神宮楽部に「善知鳥舞」を制作させました。

平成元年（1989年）11月3日、宇治橋渡始式に奉仕後、再び入院し、平成2年（1990年）3月12日に87歳で逝去しました。神号は慶光院俊大人命。

慶光院俊奨学金

慶光院俊の一年祭後、妻の澄江が皇學館大学に寄付を行い、平成4年（1992年）4月1日に「慶光院俊奨学金」が創設されました。この奨学金は、神職課程履修者中の優秀な学生を支援するものです。

人物

趣味はスポーツであり、豚捨が経営する「若柳」の名付け親としても知られています。

栄典

昭和13年（1938年）05月16日、叙正七位
年月日不明、叙従六位

慶光院俊は、神職としての卓越した能力と、皇學館大学の発展への貢献を通じて、神道界に多大な影響を与えた人物です。彼の名は、後世にまで語り継がれることでしょう。

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