懲役太郎 まむしの兄弟

懲役太郎 まむしの兄弟：裏社会を駆け抜ける兄弟の物語

1971年、日本の映画館を熱狂の渦に巻き込んだ『懲役太郎 まむしの兄弟』。この作品は、数々の抗争劇やアクションコメディを世に送り出した『まむしの兄弟』シリーズの記念すべき第一作目です。シネマスコープという当時としては最新の技術を用いたワイドな画面で展開される物語は、チンピラの義兄弟が織りなす痛快な騒動劇です。同時上映は藤純子主演の『緋牡丹博徒 お命戴きます』でした。

懲役と義兄弟

主人公は、12回もの懲役生活を送ってきたゴロ政（菅原文太）。出所後、彼を待ち受けていたのは、弟分である勝（川地民夫）でした。二人は神戸・新開地へ戻りますが、そこでは古参の「瀧花組」と新興の「山北組」による激しい縄張り争いが勃発寸前という緊張感に包まれていました。

既存勢力とは無関係に、ゴロ政と勝は本能のままに街を駆け巡ります。その行動は次第に両組織の注意を引くようになり、彼らは「まむしの兄弟」という異名で知られるようになります。

暗殺依頼と大金

抗争の決着を望む山北組組長・山北は、ゴロ政たちに瀧花組の代貸・梅田暗殺を依頼します。拳銃を手にしたゴロ政たちは梅田に襲いかかりますが、梅田は彼らの男気に感服し、大金を渡して逃がします。個人的な恨みも利害もないゴロ政たちはあっさり大金を手に入れ、知り合いの女性・ゆきに拳銃を預けます。

早崎雄吉との出会い

山北組の上部組織である「七友会」の幹部・早崎雄吉は、山北に抗争の終結を促します。早崎の圧倒的な力に、ゴロ政たちは喧嘩を売るものの歯が立ちません。その後、小豆島に帰郷中の早崎を襲撃しようとしますが、早崎の背中一面に施された竜の刺青と鋭い眼光に圧倒されます。

男の生き様と刺青

この出来事をきっかけに、ゴロ政と勝は刺青師・金五郎を訪ねます。金五郎は、どんな困難に直面しても生き方を貫く任侠道を説き、二人にマムシの刺青を彫ります。この刺青は、彼らの生き様を象徴するようになります。

抗争の終結と男の意地

山北は、部下に梅田を殺害させます。その現場に居合わせたゆきが重傷を負ったことで、ゴロ政と勝は瀧花組に加勢しようとしますが、組はすでに消滅していました。組に残されたトラックで山北組のビルへ向かう二人。そこに早崎も現れ、山北組の解散を命じます。そして、ゴロ政と勝はトラックでビルに突入し、激しい銃撃戦が展開されます。

男の落とし前

早崎は、ゴロ政と勝の男気に感銘を受け、「これが男の落とし前じゃ」と叫びながら、山北を射殺。しかし、自身も銃弾の雨に倒れます。弾薬が尽きたゴロ政と勝は、ドス片手に残党を追い詰めます。雨の中、彼らの背中のマムシの刺青は流れ出し、未完成の筋彫りが露わになります。すべてを終わらせた二人は、「これで次の懲役は一緒や」と抱き合い、去っていくのでした。

キャストとスタッフ

本作には、菅原文太、川地民夫をはじめ、佐藤友美、葉山良二、天津敏、安藤昇など、個性豊かな俳優陣が出演しています。監督は中島貞夫、脚本は高田宏治が担当し、東映の製作陣によって生み出された、時代劇アクションコメディの傑作と言えるでしょう。

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