成巽閣

成巽閣：兼六園に隣接する歴史的建造物

成巽閣は、石川県金沢市にある歴史的建造物です。文久3年（1863年）、加賀藩13代藩主・前田斉泰が、自身の母である真龍院（12代藩主・前田斉広の夫人）の隠居所として建築されました。当初は「巽御殿」と呼ばれていましたが、後に「成巽閣」と改称されました。

建築様式と文化財指定

成巽閣は、1階が書院造、2階が数奇屋造という、異なる建築様式が融合した独特の構造をしています。これは江戸時代後期の大名屋敷建築の代表例として高く評価されており、1938年（昭和13年）には国の重要文化財に指定されました。

建物だけでなく、成巽閣に付属する庭園もまた、高い文化的価値を有しています。主庭である「飛鶴庭」は1929年（昭和4年）に国の名勝に指定され、その後、2017年（平成29年）には中庭（「つくしの縁庭園」「万年青の縁庭園」）と前庭が追加指定されました。これらの庭園は、建物と調和した美しい景観を創り出しています。

さらに、成巽閣敷地内には、煎茶席「三華亭」（1963年石川県指定有形文化財）、辰巳長屋（1973年石川県指定有形文化財）、土蔵・道具蔵（1983年石川県指定有形文化財）など、多くの歴史的建造物が残されています。これらの建物は、成巽閣全体の文化的価値を高める重要な要素となっています。

歴史博物館としての役割

現在、成巽閣は一般公開されており、歴史博物館として機能しています。館内では、書画、人形、工芸品など、様々な歴史的資料が季節ごとに展示されています。これらの展示を通して、来館者は江戸時代の文化や歴史に触れることができます。展示内容は季節ごとに変わるため、何度訪れても新たな発見があるでしょう。

アクセス

成巽閣へのアクセスは、公共交通機関と自家用車の両方で可能です。

公共交通機関: 金沢駅から北陸鉄道または北鉄金沢バスを利用し、「出羽町」バス停下車徒歩3分。金沢ふらっとバス（菊川ルート）「県立美術館・国立工芸館」バス停も利用できます。かつては北陸鉄道の「県立美術館・成巽閣」バス停が存在しましたが、2021年4月以降は特定日の夜間運行の金沢ライトアップバスのみ停車しています。
自家用車: 北陸自動車道金沢西インターチェンジまたは金沢東インターチェンジから約20分です。駐車場も完備されています。

まとめ

成巽閣は、歴史的建造物としての価値だけでなく、歴史博物館としての役割も果たし、多くの人々に歴史と文化への理解を深める機会を提供しています。兼六園のすぐそばという立地も魅力的で、金沢を訪れた際にはぜひ訪れてみたい場所の一つです。 その優雅な庭園と、時代を超えて受け継がれてきた建築様式は、来訪者に忘れられない体験を与えてくれるでしょう。

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