成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律

成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律

「成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律」（以下、成田財特法）は、成田国際空港（旧称：新東京国際空港）の周辺地域における公共施設等の計画的な整備を促進するため、国の財政支援に関する特別措置を定めた日本の法律です。この法律は、空港建設に伴う周辺地域の整備を目的として、昭和45年（1970年）に制定されました。

概要

成田財特法は、空港周辺地域の道路、河川、生活環境施設、教育施設、消防施設、農地、農業用施設などの整備事業を対象としています。これらの施設整備に対し、国が通常よりも高い補助率で財政支援を行うことを規定しています。これにより、空港周辺地域の住民の生活環境向上と、空港機能の円滑な運営を支援しています。

制定当初の法律名は「新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律」でしたが、新東京国際空港公団の民営化に伴い、空港名が「成田国際空港」に変更された際に、現在の名称に改正されました。

整備計画と対象施設

成田財特法に基づき、「成田国際空港周辺地域整備計画」が策定され、様々な公共工事が実施されています。対象となる施設は多岐にわたり、道路や河川といったインフラ整備から、生活環境施設や教育施設などの生活に密着した施設までが含まれています。施設の種類ごとに補助率や事業主体が別表に定められており、国が主導となって計画的な整備が進められています。

財政援助の期間と事業費

当初、成田財特法による財政援助の期間は1978年度までとされていましたが、その後、数回にわたる延長を経て、現在に至っています。直近では、2019年に有効期限が10年延長され、2028年度末（2029年3月31日）までとなっています。これまでにこの法律に基づいて投資された事業費は、2018年度末までに約5,627億円に達しています。

法律の構成

成田財特法は以下の構成からなっています。

第一条：法律の趣旨を定める。
第二条：空港周辺地域整備計画の決定等について規定する。
第三条：国の負担又は補助の割合の特例等を定める。
第四条：財政上及び金融上の援助について定める。
第五条：政令への委任について規定する。
附則：その他必要な事項を定める。
別表：第三条に関連する事項を規定する。

法律制定の背景

成田財特法の制定にあたっては、当初、大蔵省が特定の地域のみを特別扱いすることに難色を示していました。しかし、当時の佐藤栄作首相の指示により、法案作成が進められました。1969年に国会に提出された法案は、一度は廃案となりましたが、翌年に再提出され、成立に至りました。

関連情報

成田財特法は、成田国際空港の建設と周辺地域の整備を促進するための重要な法律であり、その影響は多岐にわたります。この法律の成立は、成田空港問題（三里塚闘争）といった社会的な問題とも深く関わっており、空港建設と地域社会の関係を考える上で重要な視点を提供しています。

参考情報

財特法について - 千葉県

関連項目

成田国際空港
成田空港問題（三里塚闘争）
* NIMBY（地域住民が建設に反対する現象）

もう一度検索