成田成寿

成田成寿（なりた しげひさ）

成田成寿は、1907年（明治40年）11月18日に生まれ、1986年（昭和61年）9月24日に没した日本の英文学者です。東京教育大学の名誉教授であり、文学博士の学位を有しています。新潟県出身で、日本の英文学研究に多大な貢献をしました。

学歴と職歴

1932年（昭和7年）に東京文理科大学国文科を卒業後、福原麟太郎に師事し、英文学の研究を深めました。その後、東京高等師範学校教授、東京文理科大学教授、東京教育大学教授を歴任し、定年退官後は名誉教授となりました。さらに、大妻女子大学教授としても教鞭を執り、後進の育成に尽力しました。

研究活動

成田成寿は、特に批評文学の分野において先駆的な役割を果たしました。彼は、従来の英米文学研究に新しい視点を取り入れ、文学作品の批評的分析を重視する立場を提唱しました。また、新しい英米文学を日本に紹介し、日本の英文学研究の発展に大きく貢献しました。

著書

成田成寿は、数多くの著書を執筆しました。

アーノルド (1934年, 研究社)
英吉利現代批評文学 (1936年, 研究社)
英国批評史 (1940年, 研究社)
文芸思潮史 (1941年, 興文社)
アメリカ現代批評文学 (1948年, 金子書房)
最近イギリス文学論 (1948年, 研究社)
英米文学入門 (1950年, 金子書房)
高等英文解釈研究 (1953年, 研究社出版)
新・英文学 (1955年, 弘文堂)
イギリス娘 ヨーロッパ紀行 (1955年, 研究社選書)
ハクスレー (1956年, 研究社出版)
英米文学 論文のまとめ方と書き方 (1956年, 誠信書房)
英米の歴史と文学 (1960年, 研究社出版)
アメリカ文学思想 (1960年, 研究社出版)
英文学 ところどころ (1962年, 垂水書房)
アメリカ娘 (1963年, 研究社出版)
論文とレポート 英米文学・テーマの考え方書き方 (1966年, 八潮出版社)
現代イギリス・アメリカ文学 (1971年, 研究社出版)
批評の視点 (1974年, 荒竹出版)

これらの著書は、英米文学の研究者や学生にとって重要な参考資料となっています。特に批評文学に関する著書は、成田の文学観や批評の視点を理解する上で不可欠です。

共編著

成田成寿は、単著だけでなく、数多くの共編著も手掛けました。

絶対英文法 (1952年, 研数書院、清成孝共著)
英米文学名作解題 (1955年, 河出書房、大和資雄・福田陸太郎共編)
英文読解法 英文解釈の徹底的研究 (1957年, 山田書院、山辺吉也共著)
角川初級英和辞典 (1961年, 角川書店、岡本圭次郎共編)
20世紀英米文学案内17 ハックスリー (1967年, 研究社出版)
英語歳時記 春夏秋冬雑 (1968-69年, 研究社出版)
初級ニューワールド英和辞典 (1968年, 講談社、西脇順三郎共編)
英語歳時記 別巻 (1970年, 研究社出版)
英語世界の俗信・迷信 (1974年, 大修館書店、東浦義雄・船戸英夫共編著)
イギリス文学史入門 (1978年, 創元社)
和英辞典 (1976年、1982年新版、講談社、清水護と編集主幹)
和英辞典 (1979年, 講談社学術文庫、同上)

これらの共編著は、英文学研究の様々な分野における知見を提供しており、学生や研究者にとって貴重な資料となっています。

翻訳

成田成寿は、翻訳家としても活躍し、海外の文学作品を日本に紹介しました。

ドン・キホーテ (1949年, 刀江書院、セルバンテス著)
死の船 詩集 (1955年, 国文社、D・H・ロレンス著)
アメリカの現代劇 (1957年, 評論社、アラン・S.ダウナー著、末永国明共訳)
ハムレット復讐せよ (1957年, 早川書房、マイケル・イネス著)
D.H.ロレンス詩集 第6巻 最後詩集 (1966年, 国文社、D.H.ロレンス著)
イギリス文学史 (1968年, 八潮出版社、J.マルガン/D.M.ディヴィン著)
ベーコン随筆集 (1968年, 角川文庫、フランシス・ベーコン著)
フランシス・ベーコン「随筆集/学問の発達/ニュー・アトランティス」 (1970年, 中央公論社、フランシス・ベーコン著)
ベーコン 随想集 (2014年, 中央公論新社、フランシス・ベーコン著)
倫敦千夜一夜 (1987年, 原書房、ピーター・ブッシェル著、玉井東助共訳)

これらの翻訳作品は、成田の文学的才能と翻訳スキルを示すものであり、日本の読者に海外文学の魅力を伝える上で重要な役割を果たしました。

監修

成田成寿は、監修者としても活躍し、学術的な知識の普及に貢献しました。

国民常識百科事典 (1962年, 東京書院)

記念論集

成田成寿の功績を称え、記念論集も出版されました。

* 批評-文学と言語 成田成寿教授還暦記念論文集 (1971年, 研究社出版)

まとめ

成田成寿は、英文学者、教育者、翻訳家として多岐にわたる分野で活躍し、日本の英文学研究に多大な貢献をしました。彼の研究は、批評文学の重要性を広く認識させ、後世の研究者たちに大きな影響を与えました。

もう一度検索