成田次穂

成田 次穂

（なりた つぎほ）

日本の俳優。本名も同じく成田次穂。1940年（昭和15年）9月6日に東京都で生まれた。俳優としての道を志し、劇団俳優座養成所で演技を学ぶ。その後、サン・プロモーションに所属し、活動の拠点を主にテレビドラマや映画に置いた。

成田次穂のキャリアは1960年代から始まり、テレビドラマの世界でその存在感を発揮した。初期にはNHKの『新日本百景』やNET（現テレビ朝日）の『判決』、長期シリーズである『特別機動捜査隊』などにゲスト出演。様々な人間ドラマや事件に関わる役柄を演じ、経験を積んでいった。

特に、刑事ドラマや時代劇といったジャンルにおいて、多くの作品でその顔を見ることができる。『太陽にほえろ！』には1979年から1986年にかけて、実に10話以上にゲスト出演しており、警察関係者、医師、教師、一般市民など、多岐にわたる役柄を演じ分けた。また、『特捜最前線』にも1980年から1986年にかけて、これまた10話を超える出演を数える。これらの人気シリーズにおいて、成田は物語に深みを与える重要な脇役として、その確かな演技力を見せた。

時代劇でもその活躍は顕著である。NET系の『大江戸捜査網』には1980年から1984年にかけて複数回出演し、商人や浪人など、江戸の人々を演じた。松本幸四郎版の『鬼平犯科帳』第5話「怪談さざ浪伝兵衛」ではお役者小僧吉三役を演じるなど、印象的な役柄もこなしている。NHKの大河ドラマにも出演しており、『新・平家物語』（1972年）では鎌田正清役、そして『獅子の時代』（1980年）、『峠の群像』（1982年）にも登場するなど、歴史上の人物や時代の背景となる人々を演じる機会を得た。

『ザ・ハングマンシリーズ』や『噂の刑事トミーとマツ』、『私鉄沿線97分署』といった現代劇のシリーズものにも多数ゲスト出演しており、安定感のある演技で作品を支えた。また、『ロボット刑事』のような特撮ドラマにも出演し、その活動の幅広さを示している。

テレビドラマへの出演が中心ではあったが、映画の世界にも足跡を残している。日活の『命しらずのあいつ』（1967年）に出演した後、角川春樹事務所製作の話題作『結婚案内ミステリー』（1984年）や、伊丹十三監督のコメディ映画『タンポポ』（1985年）にも出演し、存在感を示した。『タンポポ』では課長役を演じている。

俳優活動の傍ら、CMにも多数起用された。かっぱ寿司、花王・健康エコナ、エプソン、ヤマト運輸、資生堂、つばさ証券など、幅広い分野の企業CMに出演している。

成田次穂は、主演として物語の中心に立つというよりは、作品世界を構築するために欠かせない脇役として、長年にわたり日本のテレビドラマや映画に貢献した俳優と言える。特に数多くの人気シリーズで様々なキャラクターを演じ分け、その確かな演技で多くの作品を支え続けた。

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