成田浩

成田 浩

地方公務員として、東京都政の中枢で要職を歴任し、内閣官房や大学でも活躍した成田浩氏（1947-2024年）は、都市経営および地方財政の専門家として知られる人物です。瑞宝小綬章の受章者であり、その多岐にわたる貢献は日本の都市行政や学術分野に大きな足跡を残しました。

成田氏は1947年（昭和22年）に福岡県で生を受けました。都立戸山高等学校を経て、東京大学法学部私法コースを卒業。1971年（昭和46年）に東京都庁に入都し、公務員としてのキャリアをスタートさせました。

キャリアの初期には、海外での経験も積んでいます。1986年から翌年にかけて、東京都ニューヨーク駐在員として勤務し、国際的な視点を養いました。国内では、豊島区への出向や、東京ビッグサイトの総務部長として運営に携わるなど、様々な部署で経験を重ねました。

東京都庁においては、重要な役職を歴任しました。1992年には都総務局人事部人事課長として人事行政に携わり、1994年には東京国際見本市協会管理部長を務めました。その後も、1996年に都衛生局企画担当部長、1999年には都財務局主計部長と、都政の根幹に関わるポストで手腕を発揮しました。

2000年代に入ると、成田氏はさらに都政の中枢や国の機関でその能力を発揮します。2001年には都知事本部理事として、内閣官房都市再生本部事務局次長を兼任し、国の都市再生政策に関与しました。そして、2003年には東京都港湾局長に就任し、首都東京の海の玄関口を司る重責を担いました。2005年には東京都産業労働局長を務め、都内の産業振興や労働問題への対応に尽力しました。

公務員を退職した後も、成田氏はその豊富な知識と経験を活かして多方面で活躍しました。自治体国際化協会の監事や理事を務め、地方自治体の国際交流・協力の推進に貢献しました。学術分野では、2007年から明治大学ガバナンス研究科の兼任講師として後進の指導にあたり、2010年には中央大学経済学部のインターンシップ客員講師を務めました。そして、2012年からは中央大学経済学部の特任教授として、本格的に教育・研究活動に取り組みました。

これらの活動と並行して、東京都交友会の常任理事、大田区多文化共生推進協議会会長、東京都開発審査会会長代理、国際都市おおた協会理事長など、様々な団体の役職も務め上げました。地域社会の発展や国際交流、都市開発といった幅広い分野で、そのリーダーシップを発揮しました。

長年の公職における功績が認められ、2017年秋の叙勲においては瑞宝小綬章を受章しました。これは、公務等に長年にわたり従事し、功労を積み重ねた者に対して贈られる栄典であり、成田氏のキャリアにおける大きな節目となりました。

晩年は龍ケ崎市に在住し、流通経済大学法学部でゲスト講義を行うなど、地域における教育活動にも積極的に関与しました。専門分野である都市経営や地方財政に関する深い知見を、次世代に伝えることにも情熱を注ぎました。

成田浩氏は2024年1月12日に逝去しました。享年76。その死没日付をもって、正六位に叙されました。これは、国家や社会に対して顕著な功績のあった者に対し、没後に追贈される位階であり、成田氏の生涯における貢献が改めて高く評価されたことを示しています。

東京都の幹部職員として、国の都市再生政策に携わる立場から、地方自治体の国際化支援、さらには大学教育に至るまで、成田氏の活動範囲は極めて広範でした。特に、港湾行政、産業労働政策、都市再生、そして地方財政といった分野におけるその知見と経験は、多くの政策決定や人材育成に影響を与えました。瑞宝小綬章の受章、そして没後の叙位は、その長きにわたる公僕としての生涯と、その後の社会貢献が高く評価された証と言えるでしょう。都市経営・地方財政の専門家として、また教育者として、成田浩氏が残した功績は、今後も記憶されるべきものです。

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