我が家の楽園

映画『我が家の楽園』について

1938年に公開された映画『我が家の楽園』（原題: You Can't Take It With You）は、アメリカのコロンビア ピクチャーズが製作した名作です。この作品は、第11回アカデミー賞において作品賞と監督賞（フランク・キャプラ）を受賞しており、その評価の高さがうかがえます。

原作と制作背景

この映画の原作は、ジョージ・S・カウフマンとモス・ハートのコンビが手掛けたピュリッツァー賞受賞の戯曲です。脚本はフランク・キャプラの信頼する仲間、ロバート・リスキンが担当し、キャプラ自身が持つ優れたキャスティングと語り口により、原作の魅力が映像として蘇りました。

映画は、当時のハリウッドの人気俳優であるジーン・アーサーやジェームズ・スチュワート、そして舞台出身の実力派俳優ライオネル・バリモアとエドワード・アーノルドが出演しています。また、コメディアンたちも脇役としての役割を果たし、作品全体が笑いに満ちたものとなっています。まさに、キャプラ監督の人間味あふれるコメディの一つとして高い評価を得ています。

特に、ジームズ・スチュワートが出演したことは、彼のキャリアにおいても重要な意味を持ちました。彼は次作『スミス都へ行く』での成功を収め、この映画を通じて自身の俳優としての地位を確立しました。彼自身が後に語ったように、キャプラとアルフレッド・ヒッチコックは彼の好きな監督であったと言います。

あらすじ

物語は、軍需工場の経営者であるカービーが、事業拡張のために住民を立ち退かせようとするところから始まります。しかし、彼はヴァンダーホフ老人の抵抗に直面します。カービーの息子で副社長のトニーは、老人の娘であるアリスに夢中なため、当初は仕事に対して無関心でしたが、アリスの家族と出会ううちにその考えが変わります。

ヴァンダーホフ老人は、自由に生きることの重要性を認識し、会社を去った人物です。彼の家族も一風変わった個性の持ち主たちばかりです。アリスの姉エシーは、お菓子工場で働きながら、奇妙なロシア人にバレエを習っており、母親はタイプライターを叩いて劇作家を目指しています。家の中には、玩具や花火を作っている人々が同居しており、アリスだけが家族の中で一番まともな存在です。

トニーは、次第にこの一風変わった家族に巻き込まれていき、アリスと共に一家の一員になろうとしています。しかし、彼の父カービーは、息子の愛する女性の家庭状況が気にかかり、直接ヴァンダーホフ家を訪れます。そこで彼は目の当たりにする家族の生活に驚きを隠せません。やがて、エシーの夫が作ったお菓子の包装に不穏なメッセージが記されていたことから、刑事が調査に訪れる場面も描かれています。

その後、地下では花火が爆発し、消防車が出動する騒動が起きます。この事件によって裁判沙汰に発展するものの、友人たちの協力でカービー一家は救われます。最終的にヴァンダーホフ老人の言葉「いくらお金を稼いでも、あの世には持って行けない」に納得したカービーは土地の買収を中止し、トニーとアリスも結ばれた形で物語は締めくくられます。

結論

『我が家の楽園』は、家族や自由、愛の大切さをユーモアたっぷりに描いた感動的な作品です。紆余曲折を経て、お互いの価値観を理解し合うことで、全員がハッピーエンドを迎えるその様子は、観客にとっても心温まる体験となるでしょう。この映画は、今なお多くの人に愛され続けています。

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