我らの港

「我らの港」は、かつて日本の静岡県清水市（現在の静岡市清水区）で制定されていた市歌です。作詞は長田恒雄、作曲は服部正が担当しました。

清水市で最初に市歌を制定する動きが見られたのは、1928年（昭和3年）のことです。清水市教育会が昭和天皇の御大典奉祝行事の一環として、市歌の歌詞を一般から募集しました。7月16日付で募集が開始され、9月29日の時点で56名の応募がありました。当初は10月に審査結果を発表する予定でしたが、残念ながら『清水市史』にはその結果に関する記載がなく、市歌が実際に完成したかどうかは定かではありません。

戦後、1959年（昭和34年）10月16日に清水港開港60周年と市制35周年を記念して、正式に市歌「我らの港」が制定されました。この際には歌詞の一般公募は行われず、詩人で清水市出身の長田恒雄に作詞が、国立音楽大学教授の服部正に作曲がそれぞれ依頼されました。

「我らの港」は、清水市民にとって特別な歌として親しまれ、地域のイベントや式典などで歌われてきました。歌詞には、清水港の風景や人々の暮らし、そして未来への希望が込められており、市民の心を一つにする役割を果たしていました。

しかし、2003年（平成15年）4月1日に清水市は静岡市と新設合併し、新たな「静岡市」が誕生しました。これに伴い、「我らの港」は1938年（昭和13年）に制定された旧静岡市歌と共に廃止されることとなりました。その後、2005年（平成17年）には新しい静岡市歌「わたしの街 静岡」が制定され、現在に至ります。

旧清水市に関連する楽曲としては、他に「若い清水」という行進曲も存在します。

「我らの港」は、短い期間ではありましたが、清水市民の心に深く刻まれた歌として、その記憶は今もなお残っています。合併によってその役割を終えましたが、清水市の歴史を語る上で欠かせない存在と言えるでしょう。

参考文献
清水市史編さん委員会 編『清水市史』第3巻（吉川弘文館、1986年） ISBN 4-642-01529-9
影山建樹 編『ふるさと清水の歌 平成14年版』（私家版、2002年）

関連項目
* 静岡県の市町村歌一覧

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