戦時教育令

戦時教育令

戦時教育令（せんじきょういくれい）は、1945年5月22日に公布された日本の勅令であり、太平洋戦争の末期に教育法規をほぼ全面的に停止するものでした。この勅令は、戦時における国の方針と教育制度の大きな変化を象徴しています。

概要

戦時教育令は、全6条からなり、様々な教育に関する規定が設けられました。特に注目すべき点は、学徒に対して戦時に必要な任務の遂行が求められたことです。これは、国が直面する危機に対して国民が一丸となって立ち向かう姿勢を強調したものでした。

教職員に対しては、学徒に模範を示し、学校単位で学徒隊を結成し、食糧の増産や軍需生産、防空活動、さらには重要な研究に従事することが指示されました。また、文部大臣には、戦争による徴集や召集に伴い学業を継続できない学徒に対し、行政権を行使して卒業扱いとする権限が与えられました。この権限は、朝鮮総督や台湾総督、満洲国の駐箚特命全権大使、南洋庁長官にも同様に認められました。

更に、3月18日に発表された決戦教育措置要綱に基づき、国民学校の初等科を除く授業は4月1日以降1年間停止されることが決まっていましたが、戦時教育令の発布により、この措置が法制化されました。教育の停止は国全体の戦争体制の中で重要な戦略として採用され、大きな影響を持っていました。

教育勅語との関連

この勅令は、教育勅語を引用し、学徒には「本土決戦に参加し、国家に対する最後の奉公を行うこと」が義務付けられました。これは、戦争が激化する中で国民に対して忠誠心を強調し、国家のための犠牲を求めるものでした。こうした内容は、戦時中の日本社会における教育のあり方や国民の意識に大きな影響を与えることとなりました。

終焉

戦時教育令は、戦後の混乱の中で、10月6日に制定された「戦時教育令廃止ノ件」により廃止されました。この廃止は、戦後日本の教育体系の構築に向けた新たな一歩を示すものであり、戦時中の教育政策がもたらした影響を振り返る契機となりました。

参考文献

1. 渡部徹「戦時教育令」『日本近現代史事典』（東洋経済新報社、1979年）
2. 小川利夫「戦時教育令」『国史大辞典 8』（吉川弘文館、1987年）
3. 浦野東洋一「戦時教育令」『日本史大事典 4』（平凡社、1993年）
4. 寺崎昌男「戦時教育令」『日本歴史大事典 2』（小学館、2000年）

外部リンク

• - 戦時教育令 - 文部科学省ウェブサイト

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