戦術航空軍団

戦術航空軍団(Tactical Air Command, TAC)

戦術航空軍団（TAC）は、アメリカ空軍の重要な航空部隊として、1946年から1992年にかけて存在しました。この部隊は、主に戦闘機や攻撃機を運用し、航空作戦の中核を担いました。TACの設立当初から部隊は世界各地に展開され、アメリカの航空戦力の一翼を担っていました。

歴史的背景

TACは1946年3月21日に設立されました。この日の組織再編により、戦略航空軍団（SAC）や防空軍団（ADC）と共に、重要な軍団の一つとしてその役割を果たしました。1947年にアメリカ空軍が独立し、TACはそのまま引き継がれました。

設立当初の司令部はフロリダ州のマクディール陸軍航空基地でしたが、同年の5月にはラングレー陸軍航空基地に移転しました。この時期には、TACの主要な部隊が北アメリカに配備され、ヨーロッパやアジアなどにも展開されていきました。

冷戦と朝鮮戦争への対応

1948年に発生したベルリン封鎖の際、TACの部隊は輸送機をもって在欧アメリカ空軍（USAFE）に派遣されました。その後、12月1日から1950年の12月までの間、TACはADCと統合され、大陸航空軍団（CONAC）として機能しました。しかし、朝鮮戦争が勃発すると大量の戦力派遣が必要とされ、TACは再活性化されて再び独立した部隊として機能しました。

1950年代には、戦略航空軍団との再編成があり、戦闘機の運用は全てTACに委ねられることとなりました。しかし、これにより、制空戦闘機に対する関心が薄れてしまうという課題も浮上しました。TACは後に制空戦闘機の重要性を認識し、1970年代以降にその重点を置くようになりました。

戦争への派遣と再編成

1970年代には航空宇宙防衛軍団（ADC）が解体され、その一部の戦力がTACに引き継がれ、戦術航空軍団防空部（ADTAC）として新たな形態をとりました。しかし、アメリカ本土の防空は主にアメリカ空軍州兵（ANG）が担うこととなりました。

また、TACは朝鮮戦争、ベトナム戦争、そして湾岸戦争においても部隊を派遣し、アメリカ軍の戦略的な役割を果たしました。

終焉と再編

1992年になると、航空機の高性能化や戦力の効率的な運用が求められるようになり、戦術航空軍団は航空戦闘軍団に改編されました。この改編は、戦闘機や攻撃機、爆撃機を運用するための新たな体制を確立するもので、TACの伝統を引き継ぎながら次の時代に向けた改革を行いました。これにより、TACはその長きにわたる歴史の幕を閉じることとなりました。

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