戸手

神奈川県川崎市幸区戸手：多摩川沿いの歴史と発展を刻む街

戸手（とて）は、神奈川県川崎市幸区に位置する町名で、戸手1丁目から戸手4丁目まであります。1976年（昭和51年）9月15日には住居表示が実施され、現在の町名体系となりました。戸手の面積は約33.3ヘクタールです。

地理的な位置と周辺環境

幸区の東端、多摩川に面した戸手は、川崎市立御幸中学校を除き、ほとんどが住宅地として整備されています。交通面では、第二京浜国道（国道1号）と府中街道（国道409号）が地域内を通っており、利便性が高いと言えます。北側には小向西町・小向町、東側には多摩川を挟んで東京都大田区西六郷、南側には幸町、河原町・遠藤町・紺屋町と隣接しています。

地価

2024年（令和6年）1月1日時点の公示地価によると、戸手3丁目3-4の地点では、1平方メートルあたり30万円を超える高地価となっています。これは、交通の便や生活環境の良さなどを反映していると考えられます。

歴史

中世以前

戸手の歴史は古く、『小田原衆所領役帳』に、小田原北条氏傘下である小机衆の領地として記録が残っています。

江戸時代

江戸時代初期は天領でしたが、一時久世氏領となり、その後再び天領に戻りました。徳川家継の死後、その御霊屋料として増上寺に寄進され、増上寺領となりました。元禄7年（1694年）以降は川崎宿の定助郷が課せられていましたが、増上寺領となった後は、幕末の元治期まで免除されていました。村高は約409石1斗でした。

農業が盛んで、水田が中心でしたが、梨の栽培も行われ、江戸へ出荷されていました。二ヶ領用水を利用していましたが、水争いも発生しており、特に明和8年（1771年）には、周辺の村々との間で分水口をめぐる争論が起きています。

明治以降

明治以降は、御幸村を経て川崎市に編入されました。御幸村役場は当初塚越にありましたが、その後戸手に移転しています。明治時代は梨の生産が最盛期を迎えましたが、大正時代に入ると周囲の宅地化や赤星病の流行により衰退していきました。モモやイチジクの栽培、養蚕なども行われていましたが、大正末期までには衰退しています。

川崎市となってからは、耕地整理などによって、戸手から遠藤町、神明町、紺屋町、河原町、戸手本町など多くの町が分立しました。戸手町も分立し、住居表示の実施により、現在の戸手1～4丁目となりました。

地名の由来

戸手の地名の由来については、いくつかの説がありますが、正確なところは分かっていません。「外」を意味する「と」と方向を示す「手」の組み合わせ、川の蛇行でできた斜面を意味する「取手」からの転訛、水中に突き出た堤防を意味する「突堤」からの転訛などが考えられています。

沿革

戸手の歴史的な出来事については、本文中に記載されている通りです。16世紀後半の小田原衆所領役帳からの記述から、明治維新、そして昭和時代の住居表示実施まで、歴史の変遷をたどることができます。

小字

かつて戸手には、甲本田耕地、西原耕地、西中耕地、紺屋橋耕地、巳遠藤耕地、庚下河原耕地、辛原耕地、壬原耕地、前通耕地などの小字が存在していました。これらの小字は、現在の町名と対応しています。

世帯数と人口、学区、事業所、交通、施設などは、本文に記載されている通りです。

参考文献

本文中に記載されている参考文献は、戸手の歴史や地理に関する詳細な情報を提供する貴重な資料です。

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