戸村義国

戸村義国：激動の時代を生きた武将

戸村義国は、江戸時代前期に活躍した武将で、出羽国久保田藩の藩士でした。戸村家7代目の当主であり、代々当主が名乗る通称である「十太夫」を称しました。彼の生涯は、戦乱の世から泰平の世へと移り変わる激動の時代を反映しています。

出自

戸村家の起源は、藤原秀郷の末裔とされる戸村能通によって創始されました。しかし、南北朝時代に南朝方についた戸村又五郎が戦死したことで、一時的に家系が断絶します。その後、佐竹義人の三男である佐竹義倭が戸村城を再建し、戸村氏を名乗ることで佐竹氏の一族となりました。義国はこの佐竹系戸村氏の家系に属しています。

生涯

1591年、戸村義和の嫡男として生まれた義国は、父の死により、顔を知らずに成長しました。1602年、主君である佐竹義宣が常陸から出羽久保田藩へ国替えとなった際、義国もこれに従い出羽に移ります。1605年から1607年にかけては、戸村堰という用水路を完成させました。これは、領内の農業生産向上に貢献する重要な事業でした。

大坂冬の陣では、義国は佐竹軍の一員として従軍し、今福の戦いで大いに奮戦しました。銃弾を刀鍔に受けながらも怯まずに敵将を討ち取るという武功を挙げ、その功績により、二代将軍徳川秀忠から感状と刀「青江次直」を拝領しました。これは、義国の武勇を示す逸話として、後世に語り継がれています。

その後、義国は二代藩主佐竹義隆の執政を務め、1631年には角館の代官として赴任しました。1669年には、久保田藩が松前藩からのシャクシャインの乱鎮圧応援要請を受け、派遣軍が編成されると、義国は軍将に任命されました。しかし、派遣前に乱が鎮圧されたため、実際には出陣することはありませんでした。

1671年、義国は80歳で亡くなりました。長男義宗に先立たれていたため、その嫡男である義連が跡を継ぎ、横手城代となりました。また、次男の隆経は多賀谷宣家の養子となり多賀谷家を継ぎました。三男の隆家も後に多賀谷家を継いでおり、多賀谷家はたびたび戸村家から養子を迎えることが多かったようです。さらに、義国の子である戸村隆朝（一学）が家格宿老で分家しました。

義国の生涯は、戦国時代から江戸時代への過渡期を生き抜いた武将の姿を鮮やかに映し出しています。武勇に優れ、藩政にも貢献したその功績は、後世にまで語り継がれています。

参考文献

日本人名大辞典（講談社）
秋田人名大事典（秋田魁新報社）
家臣人名事典編集会「三百藩家臣人名事典1」（新人物往来社、1987年）
三浦賢童編「秋田武鑑 全」（無明堂出版、1981年、原著者は「久保田家中分限帳」の著者）
渡邉喜一編『新編 佐竹氏一門・系図(稿)―苗字家を除く』（東洋書院、2004年）

外部リンク

常陸戸村城
戸村一族 - ウェイバックマシン
久保田藩：横手（城）所預

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