戸田忠延

戸田忠延（とだ ただのぶ）

戸田忠延は、江戸時代後期に下野宇都宮藩の藩主を務めた人物です。宇都宮藩戸田家の9代目として、藩政に携わりました。

生涯

寛政2年（1790年）に、先代藩主である戸田忠翰の次男として生まれました。文化3年（1806年）には従五位下・日向守に叙位・任官されています。文化8年（1811年）に父の隠居に伴い家督を継ぎ、宇都宮藩主となりました。

藩主就任後、忠延はまず延享4年（1747年）から文化6年（1809年）までの期間に善行を行った157名を選出し、その功績を記録した善行録を作成しました。この善行録には、農業に励んだ人々、正直者、貞節を守った女性、潔白な人物、親孝行者などが選ばれています。

忠延が藩主として最も力を注いだのは、藩財政の再建でした。当時の宇都宮藩は財政難に苦しんでおり、その立て直しが急務となっていたのです。そこで忠延は、家臣の給与や給米の削減、貸付金や扶持米の前渡し禁止といった政策を実行しました。しかし、農村の荒廃や天災が相次ぎ、幕府への嘆願も効果がない状況が続きました。これらの問題に心労が重なり、病弱であった忠延の体調は悪化していきました。

藩財政再建のため、忠延は時には強硬な手段も辞さなかったと伝えられています。財政政策で意見の異なる家臣2名を追放し、彼らが江戸や宇都宮の周辺地域に立ち入った場合、斬殺も辞さないという命令を出したという逸話も残っています。

『戸田御家記』には、忠延の生涯における事績は経済立て直しと領地引替え以外には特筆すべきことがないと記されています。この記述からも、彼が財政再建にどれほどの情熱を注いでいたかが窺えますが、追放事件からもわかるように、家臣との間には激しい対立もあったようです。しかし、これらの努力にもかかわらず、財政再建は思うように進みませんでした。

文政6年（1823年）2月26日、忠延は父に先立ち34歳という若さで亡くなりました。跡は弟で養子の忠温が継ぎました。

系譜

父：戸田忠翰
母：結子 - 松平忠順の娘
正室：庭子 - 有馬頼貴の娘
側室：百合
子女：戸田錬輔
養子：戸田忠温 - 忠翰の五男

参考文献

* 坂本俊夫『宇都宮藩・高徳藩』現代書館〈シリーズ藩物語〉、2011年9月。

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