戸田忠次

戸田忠次について

戸田忠次（とだ ただつぐ）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活動した重要な武将の一人である。彼は田原戸田氏の2代当主であり、父親である戸田光忠（忠政）の嫡男として生を受けた。通称は三郎右衛門として知られている。

出自と背景

忠次は三河国田原、現在の田原市田原町にあたる地域の出身であり、戸田氏は国人の支流に属していた。彼の家族には、光忠の兄である戸田康光がいる。康光は田原城を中心にして三河湾沿岸を支配しており、重要な地位にあった。しかし、康光は天文16年（1546年）に、今川義元から松平竹千代（後の徳川家康）を駿河国へ護送する任務を与えられたにもかかわらず、これを無視して織田信秀に売り渡してしまったことが、領地の運命を変えることとなった。今川軍の侵攻を受けて田原戸田氏は滅ぼされ、光忠は岡崎に逃れることとなる。

戦国の動乱と忠次の成長

余裕のない状況の中で、忠次は永禄6年（1563年）に三河三ヵ寺や土呂本宗寺が徳川家康に対して起こした三河一向一揆に参加した。でも、戸田家は徳川家との縁戚関係や主従関係があり、一揆に参加する中でも内通を疑われた。これに対する不満が募った忠次は、翌年には徳川側に転じ、一揆の鎮圧に加わることになった。

その後、忠次は次第に出世していき、渥美郡大津（現在の豊橋市老津町付近）に2300石を与えられるようになる。彼の活躍は、永禄11年（1568年）12月からの遠江侵攻に始まり、掛川城攻め、元亀3年（1573年）の三方ヶ原の戦い、駿河国田中城攻め、天正12年（1584年）の小牧・長久手の戦い、天正18年（1590年）の小田原征伐と続いていく。これらの戦いでの功績によってさらに信任を得ていった。

家康の関東移封に伴い、忠次は伊豆国下田（現在の下田市）で5000石の封地を与えられることになる。

晩年の忠次

文禄・慶長の役では、老齢の身にもかかわらず、肥前国名護屋城で家康に謁見し、朝鮮出兵に従軍したい旨を申し出た。豊臣秀吉は彼の申し出を聞き、「壮者の亀鑑」と称してその勇気を称賛した。

しかしながら、慶長2年（1597年）6月には体調を崩し、もはや忠義を尽くすことができないことを知ると、病を押して江戸の家康にこうした状況を伝えた。その後、彼は下田に戻り、同月23日に67歳で死去した。忠次は、生前には臨済宗妙心寺派に帰依し、和尚の乾瑞から戒名を授かっていた。

家族と後世への影響

忠次の嫡子である尊次が家督を継ぎ、田原城主となった際には、城内に英巌寺を建立し、忠次を開基と定めた。この際に忠次の戒名も改められ、英巌寺殿傑秀玄雄大居士となった。彼の人生は、忠誠心や勇敢さ、家族への献身の象徴であり、その影響は今日まで伝わっている。

参考文献

• - 徳田浩淳「蔵王山 英巌寺 由来」『英巌寺史跡』下野史料保存会、1972年4月24日、1-4頁。

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