戸田橋

戸田橋：歴史と現在

戸田橋は、東京都板橋区舟渡と埼玉県戸田市川岸の間、荒川に架かる国道17号（中山道）の道路橋です。橋長は519.0メートル、幅員は21.0メートルで、荒川の河口から25.0 kmの地点に位置しています。すぐ近くには東北新幹線・埼京線の荒川橋梁が並行して架かっています。

戸田橋の概要

戸田橋は、江戸時代に存在した戸田の渡しが起源です。1875年（明治8年）に最初の橋が架けられ、現在の橋は1978年（昭和53年）に完成した4代目です。この橋は、7径間鋼連続箱桁橋であり、最大支間長は88.4メートルです。上流側と下流側の両方に歩道が設置されています。

橋とその前後の区間では、自転車の車道走行が禁止されており、入口にはその旨を示す道路標識があります。管理者は国土交通省関東地方整備局です。また、災害時には緊急輸送路として重要な役割を担い、東京都の特定緊急輸送道路、埼玉県の第一次特定緊急輸送道路に指定されています。

歴史

戸田の渡し

戸田の渡しの歴史は古く、文献によれば天正年間（1573年 - 1593年）に遡ります。1616年（元和2年）には中山道の要所として官設の渡船場が設けられました。場所は現在の国道17号の約130メートル下流側でした。渡船は日中のみ運航され、夜間は休止していました。1772年（安永元年）には戸田河岸場が設けられ、物資の集散地としても機能しました。参勤交代の大名行列や宮様の通行の際には、臨時に舟橋が架けられました。渡船場は戸田橋の完成とともに廃止されました。

1875年の橋

1874年（明治7年）に、堀正と天野伴蔵が私財を投じて戸田橋の建設を開始しました。工事は資金不足で一時中断しましたが、正木誓が引き継ぎ、1875年（明治8年）5月26日に木製の戸田橋が完成しました。場所は渡船場と同じ位置で、工費は12660円でした。橋長は136.0メートル、幅員は4.2メートルで、通行は有料でした。

1912年の橋

橋の老朽化のため、1912年（大正元年）10月、東京都と埼玉県の資金協力により、木製の土橋に架け替えられました。橋長は129.0メートル、幅員は5.0メートルでした。しかし、1923年（大正12年）の関東大震災と1924年（大正13年）の大水で破損しました。

1932年の橋

1929年（昭和4年）に着工し、1932年（昭和7年）12月24日に3代目の橋が開通しました。鋼製のカンチレバートラス橋で、総工費は101万9000円でした。橋長は528.6メートル、幅員は11.0メートル。開通当時は「日本一斬新で美しい橋」と評されましたが、交通量の増加に対応できなくなり、1978年（昭和53年）に撤去されました。親柱の一部は戸田市と板橋区に移設され、保存されています。

1978年の橋

1973年（昭和48年）に建設が開始され、1978年（昭和53年）8月13日に現在の戸田橋が竣工しました。鋼連続箱桁橋で、橋長は519.0メートル、幅員は21.0メートルです。上り線と下り線に分かれ、それぞれに歩道が設けられています。

周辺環境

荒川の河川敷は広く、戸田橋緑地としてサッカー場や野球場があります。下流側にはゴルフ場、左岸には戸田公園があります。戸田公園の近くには、戸田漕艇場・戸田競艇場があります。

その他の情報

毎年夏には、戸田橋花火大会といたばし花火大会が同時開催され、多くの人で賑わいます。首都直下地震発生時には、帰宅困難者が殺到する可能性があり、水上バスによる避難訓練も行われています。

隣の橋

荒川には、戸田橋の近くに幸魂大橋、笹目橋、荒川橋梁（東北新幹線・埼京線）、荒川橋梁（東北本線）などが架かっています。

戸田橋は、単なる交通路としてだけでなく、歴史的な背景や防災上の役割も担う、重要な橋梁です。

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