戸田盛和

戸田 盛和に関する概要

戸田盛和（とだ もりかず）は1917年10月20日、東京に生まれ、2010年11月6日に他界した日本の著名な物理学者です。彼の専門分野は、統計力学、凝縮系物理学、数理物理学、可積分系にわたり、とりわけ「戸田格子」として知られる格子模型を導入したことで知られています。このモデルは完全可積分系の典型例として評価されています。戸田は東京教育大学の名誉教授であり、その業績はさまざまな分野に影響を与えてきました。

学歴とキャリア

戸田は旧制武蔵高等学校を卒業後、1940年に東京帝国大学理学部物理学科を卒業しました。その後、京城帝国大学や旧制東京文理科大学の助教授を経て、1951年に東京文理科大学教授に昇進しました。東京教育大学（東京文理科大学の後継校）での教授職を定年前に退職した後も、千葉大学や横浜国立大学、さらには放送大学の教授として活躍しました。

研究業績

戸田の研究は幅広く、彼のキャリアの初期には液体の構造に関する研究を行い、その成果は1947年に発表された「液体構造論」にまとめられました。この書籍は液体に関する包括的な記述として評価され、第1回毎日出版文化賞を受賞しました。さらに、1965年頃から1次元非線形格子の研究を開始し、1967年には戸田格子を提唱しました。この研究が非線形力学におけるソリトン概念の確立に貢献し、1981年には藤原賞、2000年には日本学士院賞を受賞しました。また、量子固体、溶液論、量子液体、量子統計、ランダムウォークといったテーマにも取り組みました。

戸田は日常の物理現象にも興味を示し、金平糖の作成やおもちゃの物理に関するエッセイをまとめた「戸田盛和エッセイ集(1) おもちゃと金平糖」を2000年に出版しています。

著作物

彼の著作には、以下のような書籍が含まれています：

• - 「液体構造論」（共立出版、1947年）
• - 「液体の理論」（河出書房、1947年）
• - 「物理学ハンドブック」（朝倉書店、1963年）
• - 「非線形力学」（共立出版、1984年）
• - 「マクスウェルの魔」（岩波書店、1997年）

また、彼はさまざまな翻訳書も手がけており、アインシュタインに関する著作や、物理学の基本概念を扱った書籍などが数多くあります。

教育への貢献

戸田は理科教育にも熱心で、さまざまな小中高の教科書に関与しました。これにより多くの学生に物理学の魅力を伝えてきました。特に「たのしい理科」というシリーズは、多くの子どもたちに愛され、親しまれています。

結論

戸田盛和は、日本の物理学だけでなく、教育界にも大きな影響を与えた偉大な学者です。彼の業績や著作は、今なお多くの研究者や学生にとって重要な参考資料となっています。物理学の発展に寄与し続ける彼の精神は、未来の世代にも受け継がれていくことでしょう。

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