戸畑発電所

戸畑発電所の概要

戸畑発電所（とばたはつでんしょ）は、福岡県北九州市戸畑区にかつて設置されていた火力発電所です。この施設は1937年から1964年まで運転され、北九州工業地帯における重要な電力供給源としての役割を果たしました。発電所は九州水力電気、九州電気軌道、日本製鐵の共同出資により設立され、西部共同火力発電株式会社が運営主体となりました。発電所は歴史的にも多くの変遷を遂げ、全体の出力は最大で13万3000キロワットに達しました。

沿革

西部共同火力発電の設立

北九州地域の電気事業は、先発の九州電気軌道と後発の九州水力電気の二社で運営されていました。1920年代から1930年代にかけての経済回復に伴い、電力需要が増加し、両社は発電力不足に直面しました。特に九州水力電気は発電力の確保が必要でした。こうした背景から、1936年に日本製鐵を加えた電力会社の連合が形成され、西部共同火力発電株式会社が設立されました。この新会社は、5社による均等出資で運営されることとなり、資本金は1500万円でした。

発電所建設

発電所の建設地として、小倉市内の埋立地と戸畑市大字中原の2か所が候補に上がりました。最終的に、八幡製鉄所に近い戸畑が選ばれ、1936年から建設が開始されました。第1期工事として2万5000キロワットの発電機が設置され、1937年12月に運転を開始しました。その後の需要に応じて追加の発電機を設け、出力を増強しました。

帰属の変更と増設

1938年、日本政府による電力管理法が施行され、この法律に基づいて戸畑発電所は日本発送電に移管されました。この時点での認可出力は5万3000キロワットで、更なる増設が進められました。1940年に追加で発電機が設置され、出力は10万6000キロワットに増加しました。その後もボイラーを増設し、最終的には認可出力が13万3000キロワットに達しました。

周波数転換工事と廃止

戦後、九州電力網内での需要の高まりを受けて、戸畑発電所では50ヘルツから60ヘルツへの転換が行われました。1950年から1951年にかけて改修が進められましたが、新型の発電所が次々と建設される中で、戸畑発電所は1960年に廃止され、残存設備は後に廃棄されました。

設備構成

1953年頃の戸畑発電所の主な設備は以下の通りです：

• - ボイラー：1～6号ボイラーは三胴竪型水管ボイラーで、蒸発量は144 t/h、最大汽圧は43 kg/cm2でした。
• - タービン発電機：現在は使用されていないが、発電機により出力のバリエーションがあり、例えば1号タービンは27,800 kVAの発電機容量を有していました。

まとめ

戸畑発電所は、戦前から戦後にかけての日本の電力事情を反映した重要な火力発電所であり、その歴史は地域の産業発展と深く結びついていました。廃止された現在も、その技術的な革新や発電能力の拡充に関する歴史は、今後の電力事業の参考になるでしょう。

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