扁平上皮癌

扁平上皮癌：皮膚と粘膜の悪性腫瘍

扁平上皮癌は、体表や内臓の粘膜を覆う上皮細胞から発生する悪性腫瘍です。皮膚に発生した場合は有棘細胞癌と呼ばれます。発生頻度が高く、部位によって症状や治療法が異なるため、注意が必要です。

発生メカニズム

扁平上皮癌は、重層扁平上皮や扁平上皮化生した上皮の基底細胞から発生します。これらの基底細胞が悪性化し、異常な増殖を始めます。この過程で、細胞の形状や配置に異常が生じ、周囲組織へと浸潤していきます。

増殖した癌細胞は、特徴的な構造を形成します。細胞の中心部が角質化し、同心円状に硬くなった部分を「癌真珠」と呼びます。これは、扁平上皮癌の顕微鏡診断における重要な指標となります。

発生部位と症状

扁平上皮癌は、様々な部位に発生する可能性があります。主な発生部位としては、口腔（舌、頬粘膜など）、咽頭、食道、声帯、気管支、喉頭、肛門、女性の外陰部、膣、子宮頸部などが挙げられます。皮膚にも発生します。

症状は発生部位によって異なりますが、一般的には、潰瘍やびらん、硬結といった変化が現れます。初期症状は軽微な場合が多く、自覚症状がないことも珍しくありません。そのため、定期的な検診が重要です。

病理組織学的分類

扁平上皮癌は、組織学的に癌細胞の角質形成の程度によって分類されます。

高分化型扁平上皮癌: 癌細胞が角質化しており、癌真珠が明瞭に観察されます。比較的予後が良い傾向があります。
低分化型扁平上皮癌: 癌細胞の角質化が乏しく、異型性が強い細胞が増殖しています。予後が悪い傾向があります。

診断と治療

扁平上皮癌の診断には、病理組織学的検査が不可欠です。患部から採取した組織を顕微鏡で観察し、癌細胞の有無や種類を判定します。画像診断（レントゲン、CT、MRIなど）も併用して、癌の広がりや転移の有無を調べます。

治療法は、癌の進行度、発生部位、患者の全身状態などを考慮して決定されます。主な治療法としては、手術、放射線療法、化学療法、またはこれらの併用療法が挙げられます。早期発見・早期治療が予後を左右する重要な要素となります。

まとめ

扁平上皮癌は、早期発見、早期治療が重要な悪性腫瘍です。異常を発見した場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けることが大切です。定期的な検診も、早期発見につながる有効な手段です。発生部位や症状は様々ですので、専門医による的確な診断と治療が求められます。

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