扇田昭彦

扇田昭彦

扇田昭彦（せんだ あきひこ、1940年6月26日 - 2015年5月22日）は、日本の演劇評論家であり、朝日新聞の元記者です。東京に生まれ、演劇の世界に深く関わり、その発展に大きく貢献しました。

人物と経歴

扇田昭彦は東京大学文学部西洋史学科を卒業後、1964年に朝日新聞社に入社しました。1968年からは学芸部に所属し、演劇記者として長年にわたり活動しました。彼は、1960年代以降の小劇場運動を高く評価し、その動向を積極的に紹介することで、新たな演劇の潮流を広める役割を果たしました。

1989年には、著書『現代演劇の航海』で芸術選奨新人賞を受賞し、その評論家としての才能を高く評価されました。1997年以降は、NHK衛星第二放送の深夜番組「80年代演劇大全集」「20世紀演劇カーテンコール」「新世紀演劇パレード」で司会を務め、一般の視聴者にも演劇の魅力を伝えました。

2003年から2006年まで、AICT国際演劇評論家協会日本センターの会長を務め、国際的な演劇交流にも尽力しました。また、静岡文化芸術大学文化政策学部特任教授として、後進の育成にも力を注ぎました。

息子には俳優・演出家の扇田拓也がいます。

2015年5月22日、悪性リンパ腫のため74歳で死去しました。彼の送る会には、串田和美や野田秀樹をはじめとする演劇関係者600人が参列し、その功績を偲びました。

著書

扇田昭彦は、数多くの演劇に関する著書を執筆しました。以下に主な著書を挙げます。

『開かれた劇場』晶文社 1976
『劇的ルネッサンス 現代演劇は語る』（編）リブロポート 1983
『世界は喜劇に傾斜する』沖積舎 1985
『現代演劇の航海』リブロポート 1988
『ビバ!ミュージカル!』朝日新聞社 1994
『日本の現代演劇』岩波新書 1995
『ミュージカルの時代 魅惑の舞台を解き明かす』キネマ旬報社（キネ旬ムック）2000
『劇談 現代演劇の潮流』小学館 2001
『舞台は語る 現代演劇とミュージカルの見方』集英社新書 2002
『才能の森 現代演劇の創り手たち』朝日選書 2005
『唐十郎の劇世界』右文書院 2007
『蜷川幸雄の劇世界』朝日新聞出版 2010
* 『プロデュース! パルコ劇場30周年記念の本』長谷部浩、パルコ劇場共編 パルコエンタテインメント事業局 2003

これらの著書は、日本の現代演劇やミュージカルに関する貴重な記録であり、研究者や演劇ファンにとって重要な資料となっています。

扇田昭彦は、演劇評論家として、また教育者として、日本の演劇界に多大な貢献をした人物として、記憶されるでしょう。

もう一度検索