扇町 (高松市)

扇町

扇町（おうぎまち）は、香川県高松市の中心部に位置する町丁です。郵便番号は760-0013。全域で住居表示が実施され、一丁目から三丁目までが存在します。

地理

高松市役所から北西へ約1.2km、都心部の一角を占めます。北をJR予讃線・高徳線の鉄道敷地、東を市道浜ノ町宮脇線（一部大学通り）、南を市道五番町西宝線、西を摺鉢谷川に囲まれた三角形の区域です。幹線道路沿いは交通量が多くビルや駐車場が立地する一方、内部は昔ながらの下町の雰囲気を残す都市型密集住宅街が広がり、静かな住環境が保たれています。隣接する香川大学の影響で、学生向けのアパートも多く見られます。

2010年国勢調査では、人口2853人（男性1400人、女性1453人）、世帯数1602世帯。面積約29万7592平方メートル、人口密度約9586.9人/km2です。公立小学校は新番丁小学校、公立中学校は紫雲中学校の校区に全域が指定されています。

都市計画法に基づく用途地域は以下の通りです。

旧丸亀街道（市道兵庫町西通町線）および南側の市道五番町西宝線沿い: 近隣商業地域（容積率300%、建ぺい率80%）
市道兵庫町西通町線以北および以南西側: 第一種住居地域（容積率200%、建ぺい率60%）
* 市道兵庫町西通町線以南東側: 第二種中高層住居専用地域（容積率200%、建ぺい率60%）

道路と町割

町の骨格は旧丸亀街道（市道兵庫町西通町線）です。この旧街道を中心に町が発展し、周囲を市道五番町西宝線や市道浜ノ町宮脇線といった大通りが囲んでいます。しかし、これらの幹線道路から一歩入ると、江戸時代の城下町区画がそのまま生活道路として使われているため、道幅が狭く細い路地が入り組んでいます。また、城下町特有の見通しの利かない鍵型に折れ曲がった道路配置も多く見られます。

旧丸亀街道沿いの歴史的景観

扇町の旧丸亀街道沿いは、高松市の中心市街地では例外的に、高松空襲による大きな被害を免れた地域です。このため、江戸時代からの町屋建築が、部分的にあるいは連続した形で今なお残り、貴重な歴史的景観を形成しています。かつて旧丸亀街道（市道兵庫町西通町線）は都市計画道路に指定され、狭い道幅（約5メートル）を拡幅する計画がありました。東端に近い約150メートル区間では拡幅工事が完了しており、計画通り全区間が拡幅されれば多くの町屋は取り壊される運命でした。しかし、2004年6月2日、高松市が行った事業計画見直しで「計画交通量が見込めず現状で十分」と判断され、拡幅計画は中止されました。この決定により、旧街道沿いの町屋群はひとまずその姿を残すことができました。ただし、これらの町屋群は文化財としての特別な保護を受けているわけではなく、将来的な建て替えで姿を消す可能性も残されています。

歴史

現在の「扇町」という町名は、1966年（昭和41年）の住居表示実施に伴い新設された瑞祥地名です。それ以前は、木蔵町、西浜町、浜ノ町、西通町、昭和町、幸町といった複数の町域の一部でした。江戸時代には、昭和町と幸町を除く旧町域は高松城下町の一部でした。現在の扇町一丁目は旧木蔵町の全域と旧浜ノ町・西通町・西浜町のそれぞれ一部、扇町二丁目は旧昭和町と旧幸町のそれぞれ一部、扇町三丁目は大部分が旧西浜町の一部ですが、扇町一丁目・二丁目の境界線の延長線より南側は旧昭和町の一部でした。

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