手すり子

手すり子とバラスター

手すり子（バラスター）は、階段や欄干を支える装飾的な柱のことを指し、通常は共通の基礎の上に立ちます。この構造は、さまざまな形状を持ち、角柱や円柱、または回転体のようなデザインが一般的です。素材としては、石、木材、金属などが使われ、主に美的な役割を果たしています。

起源と歴史

「バラスター」という名称は、古代ラテン語の「balaustra」に由来し、この言葉は「石榴の花」を意味します。この名前は、バラスターが半開きの蕾に似ていることからつけられました。複数の手すり子を用いると、英語では「バルストレード（balustrade）」と呼ばれる構造を形成します。このため、手すり子に関して言及する際には、通常「欄干」という用語が使われることが多いです。

手すり子の最古の事例は、アッシリアの遺跡から発見された薄浮彫りに見られ、当時の建築では窓の欄干に使われていました。古代ギリシャやローマでは、独自の手すり子の概念はなく、手すり子自体は椅子やテーブルの脚として使われていました。それが建築において独立した要素として認識され始めたのはルネサンス期からです。

ルネサンスとその後の展開

15世紀末のイタリアでは、ヴェネツィアやヴェローナの宮殿のバルコニーに新しいスタイルの欄干が見られ、これがゴシック建築に新しい影響を与えました。ジュリアーノ・ダ・サンガッロは、ポッジョ・ア・カイアーノのメディチ家別荘において、テラスや階段に手すり子を初めて体系的に採用し、以降、建築における重要な要素となりました。16世紀には、ミケランジェロなどの著名な建築家によっても手すり子的な要素が取り入れられ、このスタイルは普及していきます。

手すり子の形状とスタイル

手すり子は回転体の形状が主流であり、木工や陶芸の技術がそのデザインに影響を与えています。旋盤や轆轤を用いて形成されるため、手すり子のデザインは非常に多様です。マニエリスムやバロック様式では、特有の複雑な形状が採用され、新古典主義では簡素なデザインにシフトします。17世紀の英国やオランダの家具デザインには、オークやウォールナット材で作られた捻じれた形状が多く見受けられます。

また、手すり子は特定の間隔で配置することが求められ、通常は四角い底面に基づいて配置されます。これにより安定感が生まれますが、間隔が広すぎると美観が損なわれることがあります。手すり子は、親柱や壁と連結することで強度を保持しています。

現代の手すり子と使用される素材

現代において手すり子には、鋳鉄、木材、漆喰、重合体など、多様な素材が使用されています。また、コンクリートやプラスチックなどでは型に流し込んで形成されることもあります。階段の手すりには「バニスター（banister）」という用語が使われ、日本語では「手すり」として一般的に認知されていますが、実際には手すり子のみならず、現代的な手摺を指すこともあります。

まとめ

手すり子のデザインは、歴史的な要素や文化的背景を反映しながら発展してきました。伝統的な建築技術やデザイン感覚は、今なお多くの建物に受け継がれています。それにより、美しさと機能性を兼ね備えた役割を果たしているのです。

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