打出 (芦屋市)

打出（うちで）の概要

打出は兵庫県芦屋市東部に位置し、宮川流域や六甲山地南麓から大阪湾にかけて広がる段丘や沖積地の一部です。1889年から1944年にかけて、芦屋・三条・津知と合わせて芦屋市を形成する大字の一つでした。現在の打出の町名には、打出町・春日町・打出小槌町などが含まれています。

地名の由来

打出という地名の由来にはいくつかの説があります。《摂津名所図会》によれば、神功皇后の皇子軍士がこの地域の名を「打ち出る」と名付けたとされています。また、別の伝説では、陸路の山陽道が初めて海に突き出た場所という意味でも解釈されています。

歴史の流れ

古代

打出には古墳が数多く存在し、特に阿保親王塚古墳（翠ヶ丘町）は、阿保親王の墓と伝えられています。この古墳は4世紀後半に築造され、大量の三角縁神獣鏡が出土するなど、当時の畿内政権との関連が示されています。他にも打出小槌町に所属する打出小槌古墳や、春日町の金津山古墳などがあります。

中世

打出という地名は鎌倉時代から見られ、当時は交通の要所であったため商業活動が盛んでした。特に、1315年には後藤右衛門尉が地元の権利を巡る騒動に関与しており、打出は兵庫関における重要な地点であったことがわかります。また、打出浜では二度の合戦が行われ、建武3年には足利尊氏との戦いがあり、後の戦国時代にもこの地域は戦の舞台となりました。

近世

近世には、打出村に対する指導権がいくつかの藩や幕府に渡り、1620年代にはもはや幕府の直轄地となりました。打出村は江戸時代の初めには幕府領、次いで尼崎藩領となり、村高の増加が見られるようになりました。特に1735年には926石と急増し、新田開発が進められたことが特徴的です。

近代

明治22年に町村制が導入され、打出は精道村の大字として位置づけられました。鉄道の発展が地域の発展につながり、特に打出駅（1905年設置）の開通に伴い、交通利便性が大幅に向上しました。この結果、住宅地としての打出の人気が高まり、大正12年には人口が5,034に達しました。また、戦後も地名や町名の変更が続き、近年では打出町を冠した新たな町名が多く見られます。

統計データ

過去の記録に基づくと、打出村の初期の高は548石であり、以後1680年には674石、さらに1735年には926石にまで達しています。新田開発が進行し、地域の発展を促進させた記録が残っています。

文化・神社

また、打出には浄土宗親王寺や照善寺、一向宗の明覚寺といった寺院が存在し、地域の文化にも影響を与えています。氏神である打出天神社も重要な宗教施設であり、地域住民の生活と切り離せない存在です。

まとめ

打出はその地理的な特性だけでなく、歴史的にも多くの出来事の舞台として重要な地域であり、古墳や戦の遺跡がその一端を示しています。現在もその名を残す町名は、地域の歴史を体現する重要な要素となっています。

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