打毬

打毬(だきゅう)とは



打毬は、日本の伝統的な競技で、馬に乗った選手たちが2つのチームに分かれ、毬を相手の毬門に早く入れることを競い合います。競技に使用される打毬杖(毬杖)で毬を打つこのスポーツは、馬術の技術や戦略を必要とし、古くから日本で行われてきました。現在では、宮内庁青森県八戸市の長者山新羅神社、山形県山形市の豊烈神社がその伝承を守っており、特に青森では騎馬でなく「徒打毬」という形式も行われています。

歴史と起源


打毬は、紀元前6世紀にペルシャ(現在のイラン)で始まったとされ、日本には渤海使によって伝えられました。この競技は、その後、ペルシャからヨーロッパへと広まり、近代的なポロとして発展しました。

日本における打毬の最初の記録は『万葉集』に見られ、727年に王子たちが春日野で競技を行ったとされています。そこでは、天候が急変し、雷雨が襲ったにもかかわらず、王子たちは天皇がいる京都へ帰ることを禁じられました。これは、天皇の目に触れた際の厳罰を象徴するエピソードでもあります。

平安時代


平安時代には、打毬は貴族の間で人気があり、特に天皇行幸による観覧が行われました。記録によれば、天皇は武徳殿で打毬を観戦し、多くの貴族たちが参加しました。この時代の打毬は、競技のルールや形式が徐々に整備され、華やかな儀式に発展していきました。

江戸時代


江戸時代に入ると、打毬は一時期衰退しましたが、享保年間に徳川吉宗のもとで復興しました。この頃の打毬は、特に武士たちの間で盛況を極め、さまざまな記録が残されています。この時期には、紅白の毬や笛、鼓を用いた華やかな祭りとしての側面も強まり、競技はさらに形式化されました。

現代の打毬


現在、打毬は山形市の豊烈神社にて神事として続けられています。そこでは、神社の薙霊である水野忠元を祀る祭りの一環として行われています。また、高知県でも江戸時代に武家の娯楽として行われていましたが、明治維新後は洋式スポーツの普及に伴い、ほぼ消滅しました。

器具とルール


打毬に使用する毬はかつては毛や革で作られ、円形または楕円形でした。毬杖は竹製で、馬の背丈に合わせて作られています。競技は、選手たちが馬を操り、毬を投げ入れることで勝負が決まります。複数回にわたる試合で勝者が決まるシステムが採用され、特定の合図に従って競技が進行します。

また、競技の際には馬の動きや毬の入るタイミングが重要とされ、選手たちは互いに敵の毬を妨害し合いながら、自分たちの毬を優先して入れようとします。

まとめ


打毬は、日本の伝統文化を体現する魅力的な競技であり、その歴史や技術、ルールは長い間にわたって磨かれてきました。現在も神社などで行われる行事として、その魅力は失われていません。

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