水野忠元

水野忠元の生涯

水野忠元は、天正4年（1576年）に尾張国知多郡の緒川城主である水野忠守の三男として生まれました。母方の縁で徳川家康の従兄弟にあたり、幼少の頃から徳川秀忠に仕えました。徳川家康の関東入部後、忠元は相模国に領地を与えられ、慶長10年（1605年）には秀忠の将軍宣下拝賀に扈従し、従五位下に叙任されています。その後、小姓組番頭に就任し、慶長19年（1614年）の大坂冬の陣、翌年の夏の陣にも参戦し、武功を挙げました。

元和2年（1616年）、忠元は下総国山川に3万石を与えられ、下総山川藩の初代藩主となりました。領地は山川、結城、鹿沼にまたがり、元和3年（1617年）には秀忠の日光社参の際に饗応した功績により、5000石を加増されています。忠元は山川城を修築し、城下町の建設にも尽力するなど、藩政の基礎を固めました。

元和6年（1620年）、忠元は45歳で死去し、自らが開基となった山川の万松寺に葬られました。嫡男の忠善が後を継ぎましたが、幼少のため、井上正就が後見人となりました。

墓所と崇敬

水野忠元の父、忠守が城主を務めていた緒川城の近くにある乾坤院には、水野家歴代の位牌を祀る「堅雄堂」が設けられています。ここには忠元を含む水野家四代の墓所があり、東浦町の指定文化財となっています。

忠元の末裔である水野家は、数度の転封を経験しましたが、初代藩主である忠元の墓がある万松寺を代々の葬地としました。そのため、天保の改革で知られる水野忠邦の墓も山川にあります。万松寺は焼失してしまいましたが、跡地には「山川水野家墓所」が残り、忠邦までの歴代の墓があります。この墓所は結城市の指定史跡となっています。

また、山形県山形市にある豊烈神社は、忠元を「豊烈霊神」として祀っています。この神社は、水野忠邦が藩祖である忠元を祀ったことに由来し、古式打毬を伝えていることでも知られています。

水野忠元の系譜

水野忠元には、2男3女の子どもがいました。正室は三浦為春の娘で、高松院と称しました。

父：水野忠守
母：某氏
正室：三浦為春の娘・高松院
二男：水野忠久
女子：有馬豊長の妻
女子：水野重良の妻
長男：水野忠善 - 後を継ぎ、最終的に三河岡崎藩主となる。
女子：佐野政信の妻


次男の忠久は別家を立て、後に5000石の大身旗本となりました。二女が嫁いだ水野重良は、忠元の叔父にあたる水野忠分の孫です。

また、忠元の正室である高松院が創建したとされる高松寺は、関東大震災で全壊したのち、宮城県栗原市に移転しています。

水野忠元は、その生涯を通して徳川幕府を支え、子孫もまた幕府の中枢で活躍しました。初代山川藩主として、その功績は今日まで語り継がれています。

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