宍野半

宍野半（ししの なかば）

宍野半は、1844年（弘化元年）に薩摩国隈之城（現在の鹿児島県薩摩川内市）で生まれ、1884年（明治17年）に40歳で生涯を閉じました。彼は、日本の宗教史において重要な役割を果たした人物であり、特に富士講諸派を統合して扶桑教を設立したことで知られています。また、国学者としても活躍し、日本の伝統文化や思想の研究にも貢献しました。

生涯

宍野半は、薩摩藩の郷士の家に生まれました。25歳の時に、国学者である平田鐵胤に師事し、国学を学びました。この経験が、彼の後の宗教活動や思想形成に大きな影響を与えたと考えられます。

その後、宍野は教部省に勤務し、後に大教院の大講義も務めました。また、駿河国富士郡（現在の富士宮市）の浅間神社（現在の富士山本宮浅間大社）の官選初代宮司、山梨県北口の浅間神社（現在の北口本宮冨士浅間神社）の社司を兼務するなど、神社界においても重要な地位を占めました。これらの役職を通じて、宍野は宗教界の動向を深く理解し、自身の宗教観を形成していったと考えられます。

1870年代後半、宍野は富士講諸派の結集に尽力し、1882年（明治15年）には扶桑教を設立しました。彼は初代管長に就任し、扶桑教の基礎を築きました。扶桑教は、富士山信仰を基盤とした独自の教義を持ち、多くの信者を獲得しました。宍野の指導力と宗教的カリスマ性が、扶桑教の発展に大きく貢献したことは間違いありません。

また、宍野は神道事務局会計課長も務め、宗教行政にも関わりました。さらに、皇典講究所創立にも尽力し、「皇典講究所創設告文」を連名で著すなど、国学の発展にも貢献しました。皇典講究所は、日本の伝統文化や思想を研究・普及するための機関であり、宍野の国学に対する深い知識と情熱が、この活動にも表れています。

宍野の墓所は、東京都港区の青山霊園にあります。彼の死後も、その功績は長く語り継がれており、日本の宗教史における重要な人物として、その名が刻まれています。

宍野半の業績

富士講諸派の結集と扶桑教の設立
教部省、大教院での役職
浅間神社の宮司、社司の兼務
神道事務局での役職
皇典講究所創立への貢献

参考文献

井上順孝『教派神道の形成』弘文堂、1991年4月。
井上順孝ほか 編『新宗教教団・人物事典』弘文堂、1996年1月。
菅田正昭『古神道は甦る』たま出版、1985年。（文庫版：1994年）

関連項目

* 扶桑教

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